「ボールゾーンだと思います」阪神・藤川監督の異例のクレームコメントの真意とは

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岡田前監督の振る舞いを

 判定に対してストレートに物言いをつけた格好の藤川監督だが……。

「単なる異議申し立てということではないと感じました。“改善の余地はあるように見えてしまう”とコメントしていたのがヒントかなと。敢えてハレーションが起こることを覚悟して声を上げたという印象ですね」

 と、スポーツ紙デスク。抗議やリクエストが許されていないボールやストライクについて微妙な判定が少なからずあり、それが勝敗を分けることもあり、審判以外の客観的な視点を入れるべきではとの声はファンを中心に根強くある。

「藤川監督は岡田前監督の振る舞いを参考にしている可能性もあると思います。2023年9月のDeNA戦で、2盗を試みた阪神の選手のスライディングをDeNAの選手がブロックするような形でアウトとされましたことがありました。タイミング的にはセーフに見え、岡田前監督はこの判定に猛抗議したのです」【関連記事:阪神・岡田監督の抗議で採用された「ブロッキングベース」 原因となった「DeNA・京田」は周辺にどう話しているのか

ファンの期待が高いテーマに

 過剰な接触プレーが絶えなかったことからコリジョン(衝突)を回避するルールはすでに採用されているが、これは本塁のみの規定だ。審判団は「DeNAの選手の行為は故意ではないから走塁妨害には当たらず、走者アウト」としたが、接触する余地がないほどブロックされたベースにどうやって到達するのかという疑問はつきまとった。

「阪神はセ・リーグに対して意見書を提出し、その後“タイミング的にセーフなのにベースにタッチできずにアウトとなった場合、セーフとして試合は再開されることになる”というルールに変更されました。岡田前監督の猛抗議が実を結んだというわけです。藤川監督自身、そういったことを踏まえて今回のコメントを行ったかもしれませんね。普段からファンを大事にする発言を繰り返しており、ファンの期待が高いテーマに切り込んだとも言えますね」(同)

 翌日の試合後、責任審判は「口ではボールと宣告したが、体はストライクのジェスチャーをして混乱を生じさせた」、井上監督の確認や藤川監督が呈した疑義についても「我々の不手際」などと説明した。現行のルール上は問題なく遺恨もない幕引きの仕方と言えるのかもしれない。しかし、ストライク、ボールの判定をめぐるトラブルは今後も起き続けるだろう。藤川監督の“問題提起”をリーグや球界全体はどう受け止めるのだろうか。

デイリー新潮編集部

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