くら寿司、イタリア館、ミャクミャクサンリオ…大阪万博が“転売の博覧会”に 転売ヤー大量参戦を招いた構造的な弱点とは
「クロミの限定グッズは欲しいけど、万博には興味ない」
しかし、なぜ上乗せ価格で購入する人がいるのだろうか。
「万博には興味がないけど、クロミの会場限定ぬいぐるみは欲しい、という人が買っているのです。例えばディズニーランドにも限定グッズはありますが、そちらは“行きたい人”と“買いたい人”がマッチしているので、現地で買えるなら現地で、という人も多い。それと比較して、クロミが好きな層と大阪万博とはミスマッチが起きている感が否めません」(奥窪氏)
もし、東京在住の熱心なクロミファンが、ミャクミャクとのコラボぬいぐるみを手に入れようとしたとする。仮に現地で購入しようとすると、7500円の1日券に加え、往復の新幹線代が約3万円。宿泊する場合は約1~2万円。少なく見積もっても5万円ほどの出費が見込まれる。
「それだったら定価の倍でもフリマサイトで手に入れた方が安い、となるわけです。加えて、長きにわたり転売ヤーと対峙してきたディズニーランドなどと比べれば、万博の転売対策は無いに等しい。ディズニーランドのようなアプリと購入履歴の紐付けはなく、個数制限のある商品も“レジ並び直し”でクリアできてしまいます」(同)
まさに転売ヤー天国。「どうぞ転売して下さい」と言わんばかりの環境ができてしまっているのである。
限定グッズで若い世代の来場を促すはずが…
奥窪氏はさらに、万博側の切なる事情も転売が横行する要因になったとして、
「万博が人気キャラとのコラボ商品を用意した背景には、キャラものが好きな若い世代からの関心を集めたいという狙いがあったのだと考えられます」
と語る。ところが、大阪・関西万博の来場者の年齢層は70代以上が最も多く35%、次いで60代が22%、50代が19%と、50代以上で全体の約7割を占めている。
「グッズで若い世代の来場を促すという目論見は見事に外れ、会場限定グッズは転売ヤーたちの“商品”と化してしまったというわけです」(同)
ハッピーセットを巡っては「フードロス」の観点から、販売元のマクドナルドに対しても「対策は取れなかったのか」と批判の矛先が向かわん勢いである。
「これだけ転売ヤーが問題視される今、転売は商品を売る側にとってもリスク要因となっている。つまり転売を野放しにすることは“売れたらそれでいいのか”と企業のイメージダウンを招くことになりかねません。大阪万博についても、メルカリに並ぶ大量のミャクミャクの顔を見て、白けた気持ちになった人は少なくないのではないでしょうか」(同)
「転売ヤー問題」を巡っては、販売側の品位も問われているというわけである。
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