裁判長に「性接待」疑惑、3キロの防弾用ベスト、ヒットマンが潜伏…カオスすぎる韓国大統領選の行方
懸念は身辺警護
追い風が吹く中、李候補は地方遊説のスケジュールを分刻みでこなし支持を訴えている。しかし、集会に参加した大勢の雑踏の中に意気揚々と入っていく李候補が、民主党関係者を大いに悩ませているという。
最大の懸念は身辺警護だ。昨年1月に釜山を訪問していた李候補は、路上で支持者を装った男に襲撃され、刃渡り18センチの刃物で頸静脈を損傷して、ヘリコプターでソウル大学病院に運ばれた。
大統領選といえば、昨年7月にアメリカ大統領選挙で返り咲きを目指すトランプ候補が、米東部ペンシルベニア州バトラーでの選挙集会中にライフルで銃撃されるという暗殺未遂事件が起きた。そのようなテロの再来を恐れているというわけだ。
「5月12日に選挙運動が開始されて以降、李候補が屋外で遊説する際はワイシャツの上に重さ3キロの防弾用ベストを着用しています。ただ、聴衆にベストを着るパフォーマンスをわざとらしく見せたことで、与党・国民の力の議員からは『自身を被害者に見立てる政治ショー』などの声も上がっていました」(前出の記者)
警護をめぐって話題となっているのが、李候補にピタリと寄り添う女性警察官の姿。現地メディアによると、李候補の警察警護チームに配置された女性警査(キョンサ)。女子テコンドー国家代表選手だったことから、特殊キャリアで警察庁に入庁したという。警護業務を総括する警護隊長と共に、3年前の大統領選挙や昨年4月の総選挙時も李候補の近接警護を担当したようだ
「特定の警察官が同一人物の警護を繰り返し担当するのは珍しいのですが、それだけ李候補からの信頼が厚いのでしょう。屈強な男性に混じって警護する女性の姿に不安を感じるムキもありそうですが、男性たちの間をすり抜けて高速移動し暴漢を打撃する俊敏な動線は侮れません。不審な人物を見抜く実戦的な視覚認知能力も際立っていると聞きます」(警察関係者)
李候補の演説時には、警護員が特殊望遠鏡で周辺のビル屋上や群衆の不審人物の割り出しににらみを利かせている。とはいえ、演壇に立った際の護衛までは完全にカバーできない。当時のトランプ候補が狙われたのも演説中だった。
「李候補は身を守るため防弾チョッキこそ着用していましたが、群衆との距離感を縮めるため演台への防弾ガラスの導入は拒否してきました。しかし、選挙戦が後半入りするにあたり、支持者の懸念がますます強くなったため、透明な防弾ガラスパネルを設置しました。
民主党側は『射程2キロの怪物狙撃銃が密輸され、韓国から北朝鮮へ極秘裏に派遣される工作部隊OBのヒットマンが、潜伏しており警察が捜査中』と明かしています。しかし、一部現地メディアは『そのような情報はない』と疑問を呈しており、本当の話なのか“不透明”です」(同関係者)
李候補はスカッとする物言いの“サイダー発言”が多いため、欧米メディアから「韓国のトランプ」と称されてきた。ただ、自身の大統領当選が垣間見えてくると「個人的に日本に対する愛情はとても深い」「米韓日の協力が大切」などと対日スタンスを機敏に転換している。
「李候補は実家が極貧で中学、高校に通えず工場労働者として働きながら検定で大学に合格。奨学金を得て弁護士になったという苦労人です。過激発言で外交関係を騒がせる一方、城南市長、京畿道知事の経験があり市民に一定額を支払うベイシックインカム(最低生活保障)の論者という顔も。“テロとの戦い”が注目されがちですが、李候補の公約もしっかり検証すべきでしょう」(韓国の政治ジャーナリスト)
投開票日の6月3日が迫ってきた。どのような結末となるのか。
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