JA全中トップは「コメ価格は決して高いと思わない」…JA全農山形は「お米は高いと感じますか?」で大炎上 “解体論”まで飛び出す農協と消費者との温度差

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コメ5キロの適正価格

 この関係者は、業務用食材が豊富に取り扱われている都心の専門店も訪れたという。オリーブ油がリットル単位、豚バラ肉がキロ単位で売られている店内では、タイ産の高級ジャスミンライスが備蓄米と同じ5キロ3600円で売られており、カルフォルニア米は、それより安い3300円だった。

「江藤拓・農林水産大臣は備蓄米を、コメの価格を押し下げる切り札のように説明してきました。ところが店頭に並んだ複数原料米を見ても、それほどインパクトがないのです。実は朝日新聞が3月19日の朝刊でコメの適正価格を独自に試算し、5キロ2265円と発表して議論になりました(註4)。朝日の試算は安すぎるという批判もあり、民放キー局が街頭インタビューで適正価格を質問すると、かなりの消費者が『5キロ3000円』と答えます。2200円から3000円が消費者にとっての適正価格だとすれば、備蓄米でも高いというのが庶民の本音でしょう」

 SNSを見ると、3000円の支払先についても明確な希望を持つ消費者が多いことが分かる。卸業者やJAを通さず、コメ農家に直接、支払いたいというのだ。

 実際、コメ農家による直販はネット通販や流通システムの発達により、今も成長を続けている。JAが権勢を誇っていた昭和の時代には考えられなかった動きだ。JAにとっては脅威に違いない。

 今のような高騰を放置していると、やがて日本人はコメそのものを食べなくなる──こんな危機感を表明する財界人も出てきた。

 第2回【食糧法に“価格の安定”は「書いていない」と答弁した江藤農水相…消費者が「2キロのコメ」で節約もJA全中会長は「コメ価格は高くない」で大炎上】では、山野会長の「高くない」という現状認識とは全く異なる女性副社長の警鐘、江藤農水相にコメの高騰を抑えることは可能なのか、詳細をお伝えする。

註1:【どうするのか?崩壊寸前 食料安保】米の安定供給は長期的視点で JA松本ハイランド組合長 田中均氏(農業協同組合新聞・電子版:2025年4月24日)

註2:《それでもお米は高いと感じますか?》皮肉まじりのJA全農新聞広告に「買い占めたお前が言うな」と批判殺到(週刊女性PRIME:2025年5月11日)

註3:「おコメが高いから、パンにしました」ってホント? 食料安全保障と農業のキホンの「キ」(8)(三菱総合研究所:2025年4月3日)

註4:24年産のコメ、適正価格は「2265円」 朝日新聞が試算(朝日新聞・電子版:2025年3月17日)

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