“プロレスの試合”に“アイドルイベント”も!? 東海道新幹線「のぞみ号」の車両貸切サービスを盛り上げる“斬新すぎる企画”とは
GWに東海道新幹線を利用した人も多かったに違いない。なぜ新幹線に乗るのかと言えば「旅行」、「出張」、「帰省」が3本柱というのは常識中の常識だろう。ところが今、「イベント利用」が4本目の柱として実績を伸ばしているのをご存知だろうか。JR東海の公式サイトには「東海道新幹線 貸切車両パッケージ」というコーナーが設置されており、その案内文には《東海道新幹線の「のぞみ号」を号車単位で貸切り、車内でオリジナルイベント等を実施できる》と明記されている。
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JR東海は「貸切車両パッケージ」を宣伝する動画も作成している。公式サイトでも大きく紹介されているが、何よりインパクトがあるのは新幹線の車内で2人のプロレスラーが対戦する様子だろう。担当記者が言う。
「CM動画で紹介されたのは2023年9月に開催された『新幹線プロレス』です。プロレス団体の『DDTプロレスリング』が開催し、高木三四郎選手と鈴木みのる選手がバトルを繰り広げました。試合会場は午後1時9分に東京駅を出発した『のぞみ371号』の16号車で、名古屋駅に到着までの1本勝負というルールでした。限定グッズ付き、運賃込みのプレミアシートが2万5000円、指定席が1万7700円で発売されましたが、わずか30分で完売したそうです。ちなみに試合は鈴木選手が勝利を収めました」
試合開始前から多くのメディアが記事を配信したほか、当日はXでトレンド入り。速報を流した海外メディアもあったという。
プロレスで言えば、今年の2月15日には女子プロレスで史上初となる「新幹線女子プロレス」が開催された。リングアナの前説や、女子プロレスらしいライブコンサートも完全再現。知名度の高いアジャコング選手も一斗缶を持って車内に現れるなど、ファンが満足するイベントとなった。
誕生日パーティーや結婚式も
JR東海の公式サイトには他にも、キリンビールが16両編成ののぞみ号を丸ごと貸切にして新商品の発表を行った事例や、アイドルグループ「手羽先センセーション」が名古屋でライブを行うため新幹線で移動する際、1両を貸し切ってファンとの交流イベントを開いた事例などが紹介されている。
のぞみ号の車内でイベントを開催すると面白いのでは──JR東海が新しいビジネスを思いついたのは、新型コロナウィルスが原因で落ちこんだ新幹線の利用状況を復活させようと様々な対策に挑戦していたことが功を奏したという。JR東海の担当者に取材を依頼した。
「本格的な販売を開始したのは2022年12月からです。当初は『社員旅行のため、のぞみ号の車両を貸し切る』という“王道”の団体利用も多かったのですが、徐々にユニークな活用法のご相談をいただくことが増えていきました。展示会場に移動する際に東海道新幹線を使うため、貸切車両で商談会を開いたり、遠征に向かうラグビーチームが貸切車両でファンイベントを開いたり、という具合です。今年2月末の時点で、これまでの累計で約275件の受注をいただきました。今では誕生日パーティーや結婚式を開くお客さまもいらっしゃいます」
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