巨人3軍の「駒田監督」と「浅野翔吾」について話したこと…見事な復調で示された“天性の能力”とは【柴田勲のコラム】

  • ブックマーク

砂川リチャードはどう機能するか

 肝心の巨人だがキツいの一言だ。現在、31イニング適時打なしだ。それでも首位の阪神に1.5ゲーム差の2位、よくやっていると思う。

 ニュースが飛び込んできた。巨人・秋広優人内野手、大江竜聖投手とソフトバンクバンク・砂川リチャード内野手の2対1トレードが成立した。

 巨人は長期離脱となった岡本の抜けた穴をいくらかでも埋めたいという狙いだし、一、三塁を守ることができて、現状の補強ポイントに合致する。リチャードは昨年までウエスタン・リーグで5年連続本塁打王を獲得している。

 秋広、一昨年は好成績を残したが、昨年はさっぱりだった。使い方を見ていると、阿部監督好みではなかったのか。秋広、リチャードは環境が変われば大化けする可能性があるし、大江にしてもいまの巨人では出番がない。トレードはお互いプラスになるのが条件だ。

 順位の話に戻るが、この位置にいるのは泉口友汰、若林楽人、増田陸ら脇役の活躍が大きく貢献している。でも脇役は脇役だ。いつまでも主役不在ではドラマが成立しない。巨人は主役とまではいわないもののリチャードが活躍できると見込んだのだろう。

坂本のファーム落ちには反対

 投手陣の主役は戸郷翔征だ。エースが勝てばチームに勢いが出てくる。山崎伊織が頑張っている。戸郷の復調がカギだ。

 坂本勇人がまたファーム落ちした。前回は自ら申し出たというが、今回は4試合連続スタメンで出場して14打数2安打、結果を残せなかった。でも、これはどうか。阿部監督はまだ坂本の調子が戻っていなかったのに7日に緊急昇格を決めた。

 チームリーダーだった岡本の長期離脱が判明し、坂本にその任を任せたい。こんな狙いもあったはずだ。現役で最高の成績を残している坂本がベンチにいるだけで違う。確かに調子は悪いが、チームの柱としてアドバイスを送り、みんなを引っ張ることができる。

 第一、ファームに置く選手ではない。野手1人が犠牲になるが、坂本のファーム落ちには反対だ。

 最後になるが、打てない、タイムリーが出ないと嘆いてばかりもいられない。13日から広島、中日の6連戦、ここで大きく負け越すとズルズルいく可能性がある。

 踏ん張ってもらいたい。

(成績などは12日現在)

柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。