「決断した後の後悔」をなくすには、まず「背筋を伸ばす」のがいい理由
いくら情報収集をし、熟考を重ね「これがベストな選択だ」と思った決断でも、結果として失敗してしまうこともあるだろう。だが、結果の捉え方を変えることで、失敗のダメージがやわらぎ、前に進める時もあるはず。
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「決断した後」に自分の選択と肯定的に向き合うノウハウをご紹介する。(引用はすべて堀田秀吾氏の『決めることに疲れない 最新科学が教える「決断疲れ」をなくす習慣』より)
背筋を伸ばす
決断を間違ってしまい、落ち込む……。そんな状態から脱却するのに有効な方法が、「背筋をピンと伸ばす」ことです。
テキサスA&M大学のリスカインドとカナダ・カルガリー大学のゴティの研究は、背筋を曲げた姿勢を取り続けた場合、無力感やストレスを感じがちになる傾向が観察されたと指摘しています。それを裏付けるように、うつ病患者の大半が背筋が丸まっているという報告もあるほどです。
コロンビア大学のカーニーらが行った研究では、被験者を
(1)堂々とした姿勢
(2)縮こまった姿勢
の2つのグループに分け、それぞれの被験者にギャンブルに参加してもらいました。その結果、(1)の堂々とした姿勢のグループの方がよりリスクの高い賭けに好んで臨んだのです。
さらに2つのグループの被験者の唾液を調べたところ、(1)のグループは、決断力、積極性、攻撃性、負けず嫌いなどに関係するホルモン「テストステロン」の増加が、(2)のグループより顕著だったといいます。
背筋を伸ばす、姿勢を正す――。それだけで、チャレンジ精神がかき立てられ、戦う気持ちが生まれてくるのです。また、(1)グループはストレスホルモンである「コルチゾール」が低下していることもわかりました。
私は講義中、学生たちに「1分ほど背筋を伸ばして」と言うことがあります。
すると眠たそうだった学生も、その後は集中して話に耳を傾けてくれます。ほんの少しのきっかけで、ストレスを減らせたり、心を元気にしたりするアプローチが可能なシーンが、実は生活の中にたくさんあるのです。
より良い決断のパフォーマンスをするために、リフレッシュはとても大切です。
背筋を伸ばすのは座っていてもできる簡単な動作ですので、ぜひ実践してみてください。
自分なりの満足を知る方法
選択するにあたって情報を集めることは必要不可欠なプロセスです。でも、情報を“どう”集めるかも大切だと思いませんか。
意思決定の際の情報の集め方に着目した分類に、「マキシマイザー」と「サティスファイサー」と呼ばれるものがあります。カーネギー工科大学(現・カーネギーメロン大学)のサイモンによって提唱された概念です。
まずマキシマイザーとは、可能な限り多くの選択肢を検討し、その中から最良の選択を追求する人を指します。彼らは、「最高のもの」を見つけるまで満足しない傾向があります。
カナダ・ウォータールー大学のヒューズとショラーによると、マキシマイザーはさらに2つのタイプに分けられます。
多くの選択肢を徹底的に調べた上で、「他の選択肢が良かったかも」と思いつつも、自らの選択にポジティブな面を見出せる「促進系マキシマイザー」と、常に最高を探し続け、選んだ結果に満足できない「評価系マキシマイザー」です。
レストランに入ってすべてのメニュー(選択肢)を徹底的に考慮し、ハンバーグを選び、料理が運ばれてきたとき、「思っていたのと違うけど、美味しそうだからいいか」と思える人は、促進系マキシマイザー。対して、「う~ん、これじゃなかったな。次に来たときにリベンジだな」と考えてしまう人が評価系マキシマイザーです。
結果に対する満足度が異なるため、評価系マキシマイザーのほうが、ストレスを溜め込みやすいとされています。実際、スワースモア大学のシュワルツなどは、評価系マキシマイザーはうつ病リスクが高く、不安を感じやすいと述べています。
では、サティスファイサーとはどのようなタイプなのでしょうか?
サティスファイサーは、「十分に良いと思える選択肢」が見つかった時点で満足する人を指します。完璧を求めず、自分なりに満足できる「足るを知る」といったマインドを持つタイプとも言い換えられます。そのため、後悔や迷いが少なく、その分ストレスが少ない傾向にあります。
たとえば、商品を購入するときや飲食店に入るとき、徹底的に吟味することはせず、自分の求める基準をクリアさえしていれば、「こういうの探していたんだよな」と満足できる人。仮に、さらに良いものを見つけたとしても、サティスファイサータイプの人はすでに満足しているのだから、さほどネガティブにはなりません。先のシュワルツによると、一般的に、マキシマイザーよりもサティスファイサーの方が幸福度が高いそうです。
物事には完璧などありません。完璧を求めると疲れてしまいます。目の前のことを受け入れて、ストレスを溜めないためには、「マキシマイザー」ではなく、「サティスファイサー」のマインドを持つことが望ましいのです。