大谷翔平、打棒全開で「ベーブ・ルース超え」が射程圏の“驚異的数字”とは 達成の条件は今季の“二刀流”断念か

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投手復帰は数か月先

 今年2月のキャンプイン以降、ブルペンに入ったり入らなかったりという状況が続く投手・大谷だが、本人だけでなく首脳陣も今季中の復帰にはまだ前向きである。タイラー・グラスノーやブレイク・スネルといったエース級が戦線を離脱中で、山本由伸と佐々木朗希も間隔を空けての登板が続くなど、先発投手陣の台所事情は決して楽ではない。首脳陣としては、一日も早い投手・大谷の復帰に期待したくなるところだろう。

 ただ、地元メディア「ドジャース・ネーション」によると、ロバーツ監督は、「苦しい台所事情が大谷の復帰プランには影響を及ぼさない」「投手復帰は数か月先」というコメントを残しており、復帰には慎重な姿勢を崩していない。

 仮に大谷が2か月後のオールスター明けに復帰し、週1回のペースで先発登板するとすれば、閉幕までに10試合前後で投げることになる。

 エンゼルス時代は登板前後の試合に休養なしで出場することも多かった大谷だが、故障明けで、7月に31歳を迎える選手に対して、ドジャースはそこまで無理を強いることはないだろう。少なくとも登板の翌日は完全休養か、出場しても代打での1打席程度になるはずである。

打者専念がチームにはプラス?

 さらに、たとえ投手として復帰を果たしたとしても球数は制限されることが濃厚だ。5イニング投げずに降板という試合が大半になってもおかしくない。中途半端な形で二刀流復帰を果たすくらいなら、大谷が打者に専念する方がチームにとって大きなプラスになる可能性が高い。

 昨季は「40-40」「50-50」というマイルストーンが大谷のモチベーションの一つとなっていたはずだ。今季もベーブ・ルース超えという目標ができれば、シーズン終盤に向けて打棒に火が付いてもおかしくない。

 なにより得点数はあまり目立たない側面があるが、打点と並びチームへの貢献度を示す重要なスタッツの一つである。得点数の増加はチームの勝利に直結するだけに、この記録を意識する価値は十分あるだろう。

 エンゼルス時代の大谷は、シーズン終盤に息切れするケースも少なくなかった。今季に関しては、早い段階で打者専念を決断するのも一案ではないだろうか。結果的に、それが104年前のベーブ・ルース超えの条件となるかもしれない。

八木遊(やぎ・ゆう) スポーツライター
1976年生まれ。米国で大学院を修了後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLなどの業務に携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬記事を執筆中。

デイリー新潮編集部

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