大谷翔平、打棒全開で「ベーブ・ルース超え」が射程圏の“驚異的数字”とは 達成の条件は今季の“二刀流”断念か

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 ドジャース大谷翔平がようやくエンジン全開の打棒を披露しはじめた。日本時間4日のブレーブス戦から、大谷は9試合連続安打を継続中。一時は、2割6分台まで落ちていた打率もいつの間にか3割台に乗せている。

 昨季、「54本塁打&59盗塁」まで伸ばした本塁打と盗塁の数も順調に伸びている。12日時点で、「47本塁打&39盗塁」ペースに乗せており、2年連続の「50本塁打&50盗塁」も視界に入ってくるだろう。
【八木遊/スポーツライター】

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驚異的シーズン「173得点」ペース

 昨季は本塁打王と打点王の2冠に輝いた大谷だが、今季は打点の数が全くといっていいほど伸びていなかった。今季放った12本塁打のうち9本が走者なしの場面で、得点圏打率も2割ちょうど。今月に入ってからは走者を置いての打席も増えてきたが、開幕から続くドジャース下位打線の不振が大きな要因となっていた。

 そんな打点数とは対照的に、大谷が今季大きく伸ばしているのが得点の数である。得点は、読んで字のごとく、点を得た回数。つまりホームベースを踏んだ数のことだ。

 満塁本塁打なら4点が加わる打点とは違い、得点は1度の打席で最大1点しか記録できない。しかも本塁打以外は、後続打者の助けが必要で、打点のように一気に伸ばすのが難しいスタッツでもある。

 今季の大谷は、1試合に1得点以上のペースを維持しており、ここまで両リーグトップの44得点をマークしている。これは、シーズン換算で173得点という驚異的なペースだ。

 いわゆる“近代野球”が始まったとされる1900年以降、シーズン160得点以上を記録したのはのべ4人。そのすべてが1920~30年代に記録されたもので、達成者はベーブ・ルース(1921、1928)とルー・ゲーリッグ(1931、1936)という2人のレジェンドだけである。ちなみに過去125年のシーズン最多は、1921年にベーブ・ルースがマークした177得点だ。

“二刀流”が達成のカギを握る

 ベーブ・ルースに次ぐ2位が、1936年にルー・ゲーリッグがマークした167得点。もし大谷が今のペースを維持できれば、ベーブ・ルースに次ぐ2位にランクインすることになる。さらに大谷本人の打撃とともに、今季やや精彩を欠いているムーキー・ベッツが本来の調子を取り戻すことができれば、ベーブ・ルース超えも十分視界に入ってくるだろう。

 二刀流選手としてメジャー挑戦を果たして以降、大谷は何かにつけてベーブ・ルースと比較されてきた。2022年には、104年ぶりとなる「二桁勝利&二桁本塁打」を達成したが、もちろんベーブ・ルース以来の大記録であった。

 トミー・ジョン手術から2度目の二刀流復帰を目指す大谷に再び舞い降りてきたベーブ・ルースの得点記録だが、達成のカギを握るのは“二刀流”となりそうだ。

 というのも、もし大谷が今季中に投手として復帰することになれば、打者としてのフル出場は難しくなり、打席数も減少することが予想される。つまり、二刀流復帰がベーブ・ルース超えの足かせになってしまいかねないのだ。

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