今年も打てない!中日の“極貧打線” 球団関係者が嘆く「監督交代」だけでは解消できない「根深い問題」

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「何をするにも、とにかく対応が遅い」

 得点力不足が解消しない原因は、他にもあるようだ。それは球団としての姿勢にあるのではないかという。前出の球団関係者はこう話す。

「2月に来シーズンからバンテリンドームに『ホームランテラス』を新設することが発表されました。これは以前からずっと言われていたことです。何をするにも、とにかく対応が遅いですよね。その気になれば今シーズンの開幕に間に合わせることも可能だったと思いますが、そういった話はありませんでした。また、二軍本拠地の移転を検討していると1月に発表しましたが、具体的な候補地などは、これから選定するとのこと。いつ実現するかは、不透明な状況です。このほか、今シーズンのコーチ人事が発表されたのも、昨年11月下旬。秋季キャンプが終わった後でした。他の球団に比べると、あらゆる面でスピード感が足りないことは間違いないと思います」

 二軍の本拠地であるナゴヤ球場が開場したのは戦後間もない1948年。その後、度々改修工事を行っているものの、老朽化は明らかである。

 他球団を見ると、巨人と阪神が今年新たなファーム施設を開場しており、ヤクルトとロッテも移転先が決定している。あるアマチュアの指導者が、中日の二軍施設を見て「うちの施設の方が充実している」と話しているのを聞いたことがあるが、そういったハード面への対応も遅れていることは確かだ。

 外国人選手が、以前のような活躍を見せることが難しくなっているだけに、自前で日本人選手を育てることが、これまで以上に重要になっている。中日の打線強化についても、編成面だけではなく、ハード面を含めてスピード感を持った改革が必要ではないだろうか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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