西郷真央が制した米女子ゴルフ「シェブロン選手権」 なぜ「ギャラリースタンドはガラ空き」だったのか

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米ゴルフ界から聞こえる今後への不安

 米女子ゴルフ(LPGA)で2年目を迎えている23歳の西郷真央が、今季最初のメジャー大会、シェブロン選手権(4月24日~27日)で、5人によるサドンデス・プレーオフを制した。初優勝をメジャー制覇で飾ったことは、もちろん、日本ではビッグニュースとして報じられた。

 日本人女子選手によるメジャー優勝は、西郷が史上5人目で6例目となった。そして、西郷のシェブロン選手権制覇により、1977年に全米女子プロゴルフ選手権で勝利を挙げた樋口久子を皮切りに、日本人女子選手がメジャー5大会すべてを制したことになり、日本のゴルフ界は「日本の女子選手によるグランドスラム達成だ」と沸き返った。

 優勝者が18番グリーン脇の池に飛び込むチャンピオンズ・ダイブは、この大会の伝統儀式として受け継がれており、西郷もマネージャーらと3人で勢いよくダイブした。白いバスローブを羽織らされ、優勝トロフィーを掲げて笑顔を輝かせたか彼女は、「眩しいメジャー・チャンピオン」そのものだった。

 賞金総額800万ドル(約11億4900万円)、優勝賞金120万ドル(約1億7232万円)は、女子ゴルフの世界では破格だった。「米女子ゴルフはすごい」「米LPGAはリッチだ」「さすがはメジャー大会」「さすがはアメリカ」。そんな印象を抱いたゴルフファンは少なくなかったのではないだろうか。

 しかし、「すごい」「さすが」は、表面的なほんの一部にすぎないようだ。日本のお祭りムードとは裏腹に、米ゴルフ界では大会関係者や選手、米メディアから、今後に対する危機感を示す言葉が早くも聞こえている。

目まぐるしく変わった大会名

 この大会は、1972年に「コルゲート・ダイナ・ショア・ウィナーズ・サークル」という名前で創設された。

 1982年からは大会名に「ナビスコ」の文字が付されるようになり、「ナビスコ・ダイナ・ショア・インビテーショナル」「ナビスコ・ダイナ・ショア」「ナビスコ選手権」と続き、2002年からは「クラフト・ナビスコ選手権」と呼ばれていた。2015年からは「ANAインスピレーション」となり、2022年からは「シェブロン選手権」に変わった。

 冠スポンサーの変更に伴い、大会名は目まぐるしく変わったが、戦いの舞台は第1回から2022年までの50年間、ずっとカリフォルニア州ランチョミラージュのミッションヒルズだった。

 2021年にシェブロンが6年契約を結んで冠スポンサーになると、2023年からはシェブロンのお膝元であるテキサス州ヒューストンのザ・クラブ・アット・カールトンウッズに移されることになった。

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