カブス「鈴木誠也」打撃好調でも「108人中82位」の不安材料…「ゴールデングラブ賞」5回の名手に何が

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打撃力一本で勝負

 ここまで言われると、日本のファンはこう反論したいはずだ。鈴木は広島時代に守備のタイトルであるゴールデングラブ賞に5回も選ばれている。盗塁数を大量に稼ぐ韋駄天ではないが、足も遅いほうではない。

「2度目のゴールデングラブ賞に選ばれた17年。鈴木は6個のエラーを記録しており、これは同年の外野守備でセ・リーグトップの失策数を記録したウラディミール・バレンティン(40)の8個に次ぐ数で、他のレギュラー外野手は4個以下でした。同年、広島のセンターを守っていた丸佳浩(36=現・巨人)は2個。鈴木の守備がヘタだと思ったことはありませんが、丸と鈴木の間に打球が飛んだら、タッチアップが想定されるときは鈴木、それ以外は丸が捕るといった申し合わせもあったと聞いています。肩の強さでタッチアップを阻止するなどの貢献度も高かったので、鈴木もゴールデングラブ賞に選ばれたんです。チームの優勝も加点になりました」

 当時を知る日本のメディア関係者がそう言う。広島時代は隠すことができた弱点が、メジャーリーグで露呈してしまったようだ。今の鈴木は守備に就きたい気持ちを抑え、試合に出ることを優先しているのだろう。カブスにはピート・クロウ=アームストロング(23)など守備に定評のある若手も多い。

「東京シリーズですが、日本人選手では鈴木だけが見せ場を作れませんでした。ノーヒットで迎えた2戦目(3月19日)の第4打席でサードゴロに倒れた後、鈴木は通路前の鏡の前で素振りを始めました。素振りは9回裏の最後の攻撃が始まるまで続き、殺気立っていて近寄りがたい雰囲気でした」(球場関係者)

 結果は空振り三振だったが、その悔しさが今季の打撃好調に繋がったのだろう。

 今オフ、ポスティングシステムによる米球界挑戦が既定路線のように伝えられているヤクルトの村上宗隆(25)だが、故障明けの初スタメンは慣れ親しんだ三塁ではなく、ライトだった。プロ入り初の外野出場である。それは「日本人選手は内野手よりも外野手のほうが米スカウトの目に留まりやすい」という理由からだった。しかし、鈴木クラスでもダメ出しがされるとなれば、考えを改めたほうがいい。打撃力一本のDHで勝負し、パワーヒッターの米国人スラッガーにもスタメンを譲らなかった鈴木はむしろ褒められるべきなのかもしれない。

デイリー新潮編集部

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