「久邇家のご当主は皇籍復帰について『何を今さら』と…」旧皇族側に戸惑いが 「賀陽家の弟さんは愛子さまと“お見合い”の過去も」

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「息子さんが皇籍に入る可能性を踏まえて生活を送ってきたのでは」

 与野党協議では、前回の3月10日、旧皇族の復帰案に際し、「当事者」たる男系男子の意思確認についても議論がなされていた。

「立憲民主党の馬淵澄夫衆院議員から『対象者の意思が確認できていない』という指摘を受け、皇室制度連絡調整総括官である山崎重孝内閣官房参与は『皇室典範では皇族の養子縁組は禁止されている。現状で意思を尋ねるのは違法行為が前提となり、しにくい』と答えています」(全国紙のデスク)

 もっとも、21年の有識者会議でヒアリングに応じた麗澤大学の八木秀次教授は、

「意思確認の聞き取りは、正式には行っていないでしょう。ですが、四宮家の男系男子の存在が議論のベースにあったと政府側から説明がなされたこと自体、『応じてくれる人がいる』と、事務方が内々に感触を得ていることの証しです。例えば、かつて賀陽家のご当主の正憲さんは『うちはそういう家ですから』と口にしていたといいます。息子さんが皇籍に入る可能性を踏まえながら生活を送ってきたのではないでしょうか。実際に、必要とあらば皇籍復帰する意思を固めている男性は、4人ほどいると聞いています」

「著書で『何を今さら』」

 とはいえ、皇籍離脱からすでに78年。当の旧皇族にも戸惑いが見られると指摘するのは、皇室制度に詳しい所功・京都産業大学名誉教授である。

「久邇家のご当主である邦昭さんは今回の四家の中でも最長老で、2015年に出版された著書『少年皇族の見た戦争』(PHP研究所)には、こんな記述があります。〈近頃、旧皇族をまた皇籍に戻すべきだという意見もあるようだが、私はこれについては、『何を今さら』というのが正直なところ本心だ。(中略)今さら、皇籍に復して国民の貴重な税金をいただくのには拒否反応がある〉。久邇家は香淳皇后のご実家でもあり、邦昭さんはかつて霞会館(旧華族の親睦団体)の理事長でもあった。そうした立場の人がこう述べているという点は、きちんと踏まえておくべきでしょう」

「養子は、お受けになる皇室側のご意思が重要」

 その上で、こう言うのだ。

「養子は出す側だけでなく、お受けになる皇室側のご意思が重要です。双方の間でどのように合意形成をするのか、手続きや基準を設けなければ成り立たないでしょうから、段階を経て課題を解決していくほかありません」

 皇室のあり方が塗り替えられるような遠大な計画である。一朝一夕にことが運ぶはずはなかろうが……。

 前編【旧宮家の皇籍復帰で注目の「東久邇家」に話を聞くと… 「未婚の男系男子は少なくとも12人」と専門家が解説】では、旧宮家の皇籍復帰案のこれまでについて解説するとともに、「東久邇家」に取材した結果を紹介している。

週刊新潮 2025年5月1・8日号掲載

特集「安定的な皇位継承のために…皇族復帰するかもしれない『旧4宮家』の人々」より

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