「増税のザ・当事者」 ブーメランを承知で消費減税に踏み込んだ立憲民主・野田代表のジレンマ
天下の愚策ブーメラン
公明党の斉藤鉄夫代表の言い分はこうだ。
「消費税の軽減税率制度は公明党が主張して実現したが、野田代表はその時に“天下の愚策だ”と言っていた。今回、その『愚策』を前提にした政策提言をしたことに少し違和感を持つ。消費税率の引き上げを含む社会保障と税の一体改革は、私も党の税制調査会長として旧民主党と合意した」
立民は旧民主、民進時代から、舌鋒鋭く相手を追及してきた自らの過去の言動との整合性が問われ、逆に追及を受けるという「ブーメラン」がカルチャーとして定着していると揶揄されてきた。今回の野田氏の変節はブーメランの最たる例と指摘を受けているわけだ。
「終盤国会のテーマは内閣不信任案の提出になります。出すか否かについて現時点で、出さない理由を見つけるのは難しいとは言えるでしょう。消費税の扱いをめぐって、日本維新の会や国民民主など、他の野党の多くも税率の引き下げを主張しており、それで1つにまとまることは不可能ではなく、そうなると不信任案は通過します。石破首相は総辞職ではなく衆院を解散し、タイミング的に衆参ダブル選になりそうです」(同)
野党の候補を一本化できない状況
経緯はともかく、衆院が解散された場合、不信任案の当事者である立民にとってウェルカムかと言うとそうでもなく、むしろ悩ましいのだという。
「野党の候補を一本化できない状況が続いているためです。国民民主が積極的に候補を擁立する構えを見せています。各野党の言い分を聞き取って半ば強引にまとめる剛腕も不在で、となると現時点で政党支持率で国民民主に遅れを取っている立民が勢力を伸ばすことはなかなか期待できませんね」(同)
不信任案を出さない理由はないが、出したところで自党にメリットはない中で不信任を問うことに意味があるのか。そんなジレンマに直面しているということか。
「本当に国民のためを思っての政策なのか、単に党が割れないためだけの方便なのか。ベースにあるのは自党のことを優先させた考え方ではないかとの指摘もあります」(同)
少なくとも「ザ・当事者」を自負している以上は、これまでの主張との整合性、減税の場合の財源、さらには1年限定の意味、給付金ではない理由等々、理路整然と説明する必要があるだろうが、果たして巨大ブーメランを跳ね返すだけの理論武装は可能なのだろうか。
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