「親が無理やりは絶対に長続きしません」…体操五輪代表「田中3きょうだい」の父が語った“子供にスポーツを続けてもらう秘訣”

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親が無理やりは絶対に長続きしない

 章二さん自身もこう振り返る。

「やっぱりね、和仁が生まれた時は、体操やってくれたらええなあとは思ってましたよ。ただね、親が無理やりいうのはよくない。それは絶対に長続きしないんです。あくまで自分たちの判断、基準で練習を続けるようでないとだめ。僕はそこが一番大事だと思ってます。誰かにやらされるんではなく、自分が好きだから続けるんだということを常に意識させる。だから僕は、子供たちが体操を嫌いにならないように、好きでい続けられるようにいろいろ工夫をしてきたんです」

 まず、家庭の中では、子供たちが遊びのなかで体操に触れられるような工夫を凝らした。

「家の中にトランポリンやジャングルジムを置くんです。それも、わざと廊下を塞ぐようにね。そのトランポリンを越えないと部屋に入れないわけ。すると子供たちは必ずジャンプし、面白がってひねりを入れたりする。ジャングルジムでも棒の上に立って、バランスとったりして遊ぶ。

 それを僕は見てるだけ。決してああしろこうしろとは言わない。遊び方は彼らに任せるんです。庭にも砂場を作って、日除けの庇に吊り輪なんかもぶら下げておく。子供たちはお互いの遊び方を見ながら自分たちで楽しみ方を覚えていくんですよ」

自分で観察させ、考えさせる

 そうすることで、自然と洞察力が育っていく。

「例えば和仁が3歳の頃、キッズコーナーにお金で動く乗り物があった。僕はそこでも見てるだけ、1回目は、動かなくても乗ってるだけで楽しい。でも、2回目には他の子が乗ってる時には動いていたことに気づく。すると和仁はその子が降りた途端、だーっと駆け寄る。でも、お金を入れないから動かないわけ。

 それでも僕は何も言わずに見てる。そうこうして3回目にようやく『ここにお金入れてー』と言った。それでようやく褒めてあげるんです。『よう気がついたなあ』って。そしたら喜んでね。要は自分で観察させ、考えさせる。それが洞察力を育てる上でものすごく役立ったと思うんです」

 そうした洞察力のあるなしが、体操で新しい技を練習する際に違いとなって現れてくるのだという。コーチや先輩の技術をどれだけじっくり洞察できるかが、上達のカギになるのだ。

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 洞察力を伸ばす時期を経て、いよいよ本格的な練習へ――。それでも田中家は「体操を好きでいてもらう」ことに注力し続けた。【第2回】「『巨人の星』みたいな熱血根性はいらないんです」 体操五輪代表「田中3きょうだい」を伸ばした父の“褒めテクニック”では、徹底的な“ほめて伸ばす”術の具体例などを明かす。

デイリー新潮編集部

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