ブレイクから8年 「ピコ太郎」はなぜ世界を席巻したのか 古坂大魔王が世界を回って感じた「笑いを受け止める文化の違い」
ブレイクから8年8カ月経っても、海外で高い人気を誇る「ピコ太郎」。4月24日には、YouTube20周年記念スペシャル動画「It’s Our Birthday,Let’s Party」の出演メンバーに日本人として唯一選出された。なぜピコ太郎の笑いは世界を魅了し続けるのか――。ピコ太郎の“プロデューサー”として、世界15カ国19地域を回ってきた古坂大魔王(51)に話を聞いた。(前後編の前編)
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【写真】テイラー・スウィフト、エド・シーラン、ジャスティン・ビーバー…。錚々たる世界的アーティストと共にピコ太郎が出演した「YouTube20周年記念動画」
海外では「一発屋であってもリスペクトされる」
――YouTube20周年スペシャル動画へのエントリー、おめでとうございます。
ありがとうございます。ただ、残念ながら日本ではあまり取り上げられておらず、おめでとうと面と向かって言われるのは初めてです(笑)。今も三田警察署でピコ太郎が「一日警察副署長」をやらせていただいてきたばかりなのですが、通りがかりの外国人観光客の反応はすごかったです。「ピコ太郎がいる!」とみんな大喜びで手を振ってくれました。
――ピコ太郎の仕事は海外の活動が多いのですか?
日本では子供向けの仕事が多いですが、子供に限定しない仕事となると海外が多いです。例えば、今も日本で流れているキットカットのCMの元はネスレ日本からオファーでしたが、ネスレ本社のスイスの方たちも喜んでくれたと聞いております。ありがたいことに2年連続で、アメリカのCNNからニューイヤーコメント動画を出す仕事も頂いています。
――なぜ海外ではピコ太郎人気が持続しているのでしょうか。
PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)を最初にYouTubeに投稿したのは2016年8月。年末には1億回を超えましたが、その後も閲覧され続け、今ではトータルで7億回にまで達しています。
向こうではブームの持続という感覚がないのです。多言語多民族から成る世界の中でコミックソングをヒットさせること自体が珍しく、アジア人だと名の知れた成功者は「江南スタイル」のPSYさんとピコ太郎くらい。たった一回のヒットであろうともすごいとみなされ、リスペクトの対象であり続けるのです。
一方、日本では流行り廃りの間隔が早く、テレビが流行を決めている傾向にある。そして、テレビに出なくなったら「終わった一発屋」扱いされてしまうように感じています。
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