“佐々木ロス”など関係なし…今季「千葉ロッテ」が最も警戒されるチームになっている理由
最も警戒するチーム
対戦チームがもっとも警戒している――それが今年の千葉ロッテマリーンズだ。
今季のパ・リーグと言えば、優勝候補の筆頭と目されていた福岡ソフトバンクホークスが連敗スタートとなり、対戦カードも2巡目が終わろうとしている5月ゴールデンウィークに入っても最下位に低迷したまま。その波乱のペナントレースの仕掛け人とも言えるのが昨季の覇者・ソフトバンクに開幕3タテを喰らわせた千葉ロッテだ。
【写真特集】パ・リーグ監督は果たして何人? プロ野球監督別リーグ優勝回数ランキングベスト10(1990年~2024年)
「ロッテは対戦カード10節を終えた5月1日のオリックス戦まで、同一カード3連敗がないんです。2連敗して3戦目が雨天中止になって救われたこともありましたが、最後に踏み止まる力がチームに養われて来ました。ここに来てペースダウンしてきた理由は春先に好調だった若手野手陣に勢いがなくなったから。吉井理人監督(60)も、彼らがぶち当たっている壁を破るのを待っているんだと思います」
ライバル球団のスタッフはそう警戒する。4月30日のオリックス戦を終えた時点でロッテは11勝13敗の5位。勝率5割以上で貯金があるのは首位・オリックス、2位北海道日本ハム、3位・埼玉西武で、上位3チームと下位3チームに線引きされているが、それでも上位チームが千葉ロッテを警戒する理由は、頭角を現した若手野手陣にある。伸びしろも十分にあるので、何かをきっかけに一気に浮上してくる可能性を秘めているからだ。
しかし、もっとも注目すべきは投手力だろう。チーム防御率2.63(リーグ2位)、すでに完封勝利2回、リーグ最少の与四球52、失点70(同2位)と、高い数値を残している。心配された“佐々木ロス”は「ない」と言っていいだろう。
ところで、その昨年オフに佐々木朗希(23)のポスティングシステムによるメジャーリーグ挑戦を許した経緯について、新戦力の台頭に重ね合わせ、こんな説が囁かれている。
「佐々木がメジャーリーグ挑戦を強く主張するようになったのは、23年オフでした。その頃から、先を見越して『佐々木抜きのチーム作り』を始めていたのでは」(関係者)
昨オフ、米球界挑戦を巡るロッテ球団との交渉が始まったころ、「ポスティングシステムに掛ける密約があったのではないか」との憶測記事が出たことがあった。その根拠とされたのが、佐々木が1位指名された2019年のドラフトだ。ドラフト会議が行われたのは、同年10月17日。だが、ロッテ球団の指名挨拶は29日だった。会議から12日も空いており、この日程を指して「佐々木側から将来の米球界挑戦に関する強い要望が出たのではないか」と囁かれていた。
「新人選手は入団にあたって、統一契約書にサインをし、NPBに提出されます。仮に球団と指名選手の間で統一契約書以外の別の約束が交わされていたとしても、現行ルールではNPBは調査することができないんです。昨季、18試合に先発登板してうち15試合で白星か黒星が付いた佐々木は大切な戦力です。投打の新しい戦力が順調に育ったことで、逆にその佐々木を引き止めなかったことに対する疑念が再燃しているのです」(前出・同)
[1/3ページ]