筒香嘉智「契約残しての引退」に危惧の声 「4億円を捨てた男」に重なる“引き際”とは
交流戦で1軍昇格か
筒香は米国時代、本場の速球投手のスピードを克服し切れなかった。レイズを皮切りにドジャース、パイレーツとメジャーの複数球団を渡り歩いたものの安定した成績を残せず、米球界4年目の2023年はメジャー出場がなかった。24年は招待選手としてジャイアンツのメジャーキャンプに参加。オープン戦で結果を残せずにメジャー昇格を逃し、志半ばで日本球界復帰に至った。
「日本にもトラックマン(弾道測定器)などのテクノロジーが入ってきたことで、特に投手の技術が飛躍的に上がりました。150キロを投げる投手はざらで、ちょうど筒香がアメリカに行っていた時期と投高打低が進んだ時期が重なります。渡米前と同じ活躍をすることが難しくなりました」(同スコアラー)
日本の投手は打者以上に、急速に進化を遂げている。速球を不得手とする筒香に、本塁打王にも輝いた全盛期の姿は望めない時代になった。
一方で三浦監督はいまだ信頼を崩していない。「指名打者を使える試合が出てくる交流戦(6月3~22日)をメドに復帰させる考えがあるのではないでしょうか。交流戦期間を逃したとても後半戦などタイミングがいい時期に、チームと筒香の状態を見極めながら優勝に向けた起爆剤として使いたいのでしょう」(元NPB球団監督)
残りの年俸を破棄した城島
期待が変わらないということは、筒香にかかる重圧が変わらないということでもある。
球史を紐解くと、2012年9月下旬、当時阪神の城島健司捕手(現ソフトバンク・チーフベースボールオフィサー)が36歳にして現役引退を表明した。4年契約を1年残し、ユニホームを脱ぐ決断を下したのだった。
同年6月の株主総会では推定4億円の年俸にもかかわらず、故障の影響で2軍暮らしが長引く現状に、株主からは「不良債権」との指摘を受けた。既に球史に足跡を残していた日本人初のメジャー捕手は屈辱的な時期を過ごしていた。
「(推定4億円の)残り1年の報酬を破棄し、“捕手のまま引退する”と決断した言葉には意地を感じました。ファンやメディアの目が厳しい阪神だからこその潔い引き際だったのかもしれませんが、鮮やかという言葉以外に見当たりませんでした」(同元監督)
確かに当時の城島と、今の筒香は年齢もチーム内での立ち位置も体調面も全く同じではない。それでも筒香の野球に一途で、カネに執着しない人柄をよく知るチーム関係者は同じ道を歩む可能性を排除できないのだという。
[2/3ページ]



