やっぱり“投資より貯蓄”? 55歳以上向け定期預金にシニア殺到…利用者に聞くリアルな懐事情
「減らしたくない気持ちの方が強い」
特に老後資金の柱となる退職金は、「元本保証が大前提」と考える人が多い。
実際に「アクティブシニア円定期」に1000万円を預け入れたAさん(66)も、「あえてリスク商品を選ぶ必要がなかった」と話す。
「2019年に小学校教諭を定年退職し、受け取った退職金は色々な銀行の『退職金対象』の円定期に預けていました。ただ、“退職後1年後以内の資金”などの条件が付くことが多く、今回はそうした制限がないうえ、金利も高く5年ものという点に惹かれてこの商品を選びました」(Aさん)
1000万円は退職金の一部で、投資信託や外貨建ての保険なども他の金融機関で持っているが、そちらは少額で細々と続けている状況だという。
「これまでのお付き合いで続けている感じですね。トランプショックなど、今の不安定な状況下で大事な退職金であえてリスク商品を選ぶ必要はないですし、今の年齢で資金をたくさん増やすというよりも、減らしたくない気持ちの方が強いですね」(同)
5年後に受け取った利息の使い道は、現時点では特に決めていないそうだ。
やっぱり投資より貯蓄?
レジャー施設の営業職のBさん(59)も、最近の株価や為替の急変動が、円定期を選んだ理由になったと話す。
「最近の高リスクな金融市場を鑑みると、やはり元本保証は魅力が大きいと感じました。ひとまず募集最低額の100万円を預け入れましたが、追加を検討中です。受け取った利息は遊興費や介護費用の足しにできればと考えています」(Bさん)
やっぱり投資はやめて貯蓄へ……政府の掲げるスローガンとは逆行するようだが、資産運用の目的や、許容できるリスクは年代によって様々なのである。
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