宅建に測量士補、保育士まで…引退から11年「GG佐藤」が難関資格に挑み続ける「最大の理由」とは
情熱を燃やせる目標を持つことが大切
そして見事に目標をクリアした佐藤氏は、晴れて高校の推薦を勝ち取ることに。
「やると決めたことをやり遂げる力はありましたが、興味のないことは絶対にやらない。そこはこれまでの人生で一貫しています」と、自身の勉強に対するこだわりを振り返った。
その後は桐蔭学園を経て、法政大学に進学するも、厚い選手層に阻まれてレギュラーポジションは奪えず。だが、それでもプロ野球選手になる夢を諦められなかった佐藤氏は、大学卒業後に海を渡り、アメリカの1Aでプレーを続けた。
「渡米前に3日間だけ学んだ」という英会話では、コミュニケーションもままならず。連日のバスを使った長距離移動や、ファーストフードばかりの食生活を続ける中で、捕手へのコンバートも経験するなど、これまでとは何もかもが異なる日々を過ごした。
「たしかに……。今、振り返るととにかく大変な毎日でしたけど、あの頃は“ゆくゆくはプロ選手として活躍したい”という目標や“燃えたぎる情熱”がありましたから、当時は微塵も苦しさを感じませんでした。ろくに言葉も話せなかったので、サインを出す時には1がストレート、2がカーブ、5がチェンジアップ。ピンチが訪れた時にはマウンドに出向き、投手を励ますくらいしかできませんでしたけど、それでも何とかやれましたし、むしろ日本で捕手を任された時の方が、サインが複雑で大変だった記憶もある。二度と経験したくないような苦しさもたくさん味わいましたけど、目先の辛さよりも、それを難なく乗り越えられるくらいの大きな目標を持つことの方が大切なのかなと僕は感じています」
英語を使って何をしたいのか
だが、近年では急速に進む国際化の影響を受け、英語教育に対する熱が急速に高まっている。かくいう佐藤氏の二人の子供たちも、英会話教室に通っているそうだ。
佐藤氏は自身のこれまでの経験や、スウェーデンの教科書に書かれていた一文を交えながら、昨今の語学教育に対する持論を展開する。
「スウェーデンでは、母国語(スウェーデン語)の教科書に“もしあなたが何かやりたいことを見つけたら、達成するためには仲間を作らなければならないだろう。そして、誰かの協力を募り、自分の夢を叶えるためには、自分の思いをしっかり伝える必要がある。だからそのために、しっかり言葉を学ばないといけないんだ”と書いてあるそうなんです。僕はそれを知った時に“なんて素晴らしい教育だ!”と感銘を受けまして」
そして佐藤氏は、こう続ける。
「確かに、英語を学ぶこと自体は悪くないと思いますが、世界を見渡すと英語を話せる人はたくさんいますし、通訳に任せた方がスムーズに事が運ぶ場面も、現実には多く目にします。それらを踏まえると、何か目的を持って語学の勉強に取り組まないと無駄な時間を過ごすだけで終わってしまうように感じるのです。“英語を使って何をしたいのか”を考える習慣こそ、もっと大切にすべきだと思うんです」
そのように話す佐藤氏は、国際化が進むご時勢とは対照的に、これまで受け継がれてきた日本伝統文化や言葉に関心を持つようになり、教養を深めているそう。
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