東京六大学DH制導入で際立つセ・リーグ“ガラパゴス化”「巨人の好きなようにはさせない」

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 今年連盟結成100周年を迎えた東京六大学野球に、ついに来年からDH(指名打者)制が導入されることが決まった。高校野球でも選手の健康対策として7回制とともに、DH制導入の議論が始まっている。大谷翔平投手のドジャースを含むメジャーリーグのナショナル・リーグも、2022年からDH制導入に踏み切っている。こうなると、DH制を採用していない日本プロ野球のセ・リーグの“ガラパゴス化”が、世界的に際立つことになる。

早大・小宮山監督「投手が打席に立つ野球を諦めるのは残念」

 東京六大学(早大、慶大、明大、法大、立大、東大)へのDH制導入は、4月10日の理事会で決まった。現役時代にDH制のプロ野球パ・リーグのロッテなどで投手として活躍した早大・小宮山悟監督は「ピッチャーが打席に立つ野球をしてきたのを諦めるのは残念」としつつ、「世の中の流れなのでやむをえない。高校生の勧誘で“打つだけ番長”を獲れるメリットは出てきた」と語った。

 全日本大学野球連盟に加盟している27連盟のうち、現時点でDH制を採用していないのは、東京六大学と関西学生(近大、関大、立命大、同大、関学大、京大)の2リーグだけ。東京六大学がDH制に踏み切る以上、もう1つの関西学生も追随する可能性が高いとみられる。

「われわれ関西学生リーグは、いろいろな面で東京六大学と歩調を合わせてきました。東京六大学がDH制導入を決めた時、こちらは既に春季リーグが開幕していて対応できませんでしたが、もともと各大学の監督からは導入の要望も出ています。春季リーグ終了後の理事会で話し合われることになりますが、おそらく導入の方向になると思います。そうなれば、大学日本一を決める秋の明治神宮大会も、現在はDHなしで行われていますが、遠からず採用されるでしょう」(関西学生野球連盟関係者)

 DH制はメジャーリーグで1973年、アメリカン・リーグが人気、観客動員で上回るナショナル・リーグに対抗する目的で採用した。日本のプロ野球でも、当時セ・リーグに比べて人気で大きく劣っていたパ・リーグが1975年から採用した歴史がある。

 しかし、いまやDH制は世界的なスタンダード。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)のような国際大会でも採用されている。長らく投手が打席に立ってきたナショナル・リーグも、2022年シーズンからDH制に舵を切った。日本の社会人野球も、都市対抗野球大会などでDH制を採用している。

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