東京六大学DH制導入で際立つセ・リーグ“ガラパゴス化”「巨人の好きなようにはさせない」

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2020年オフに巨人が暫定的導入を提案するも賛同を得られず見送り

 こうなると、セ・リーグだけがDH制を採用していないことが不思議に見えてくる。もっとも、セ・リーグでも巨人の原辰徳前監督は盛んにDH制導入を提唱していた。2020年のオフには、巨人・山口寿一オーナーが新型コロナウィルスの感染拡大をうけて、セ・リーグ理事会に暫定的なDH制を提案。投手の負担軽減、多くの野手に出場機会を与えるなどの理由を挙げていたが、賛同を得られず見送られている。

「DH反対派からは『DHなしの方が、継投や代打起用など駆け引きに妙味があり、戦略・戦術を楽しめる』という意見の他、『DH要員の分レギュラーが1人増え、人件費が上がる』との声も上がっています。後者に関しては、現状でDHなしのセ・リーグの方が年俸総額は高いので理由にならないと思いますが、とはいえ、資金力があって外国人選手獲得などに金をかけられる球団が、より有利になる可能性はありますね」(NPB=日本野球機構=関係者)

 セ・リーグ球団間の対抗意識がDH制導入を妨げている一因、との見方もある。

「2020年オフにDH制導入の声を上げたのが巨人だったため、他球団サイドから『ドラフト制も、FA制も巨人が主導権を握って変えてきた。DH制まで巨人の好きなようにされてたまるか』という反発があったと聞いています」(同上)

「榊原定征コミッショナーも『セとパでルールが違うのは、ノーマルな状態ではない』との意見を表明しており、ゆくゆくはセ・リーグにもDH制が導入される流れになっていくと思います。ただ、日本のコミッショナーは強権を発動できる立場ではない。セ・リーグ各球団の異なる思惑を誰が、どうまとめるかが当面の問題です」(スポーツ紙デスク)

 昭和以来のオールドファンには「投手も打席に立ってこそ、本当の野球」という意見もあるだろうが、もはや世界的な潮流の中で風前の灯。セ・リーグはいつ決断することになるのか。

(取材・文/喜多山三幸)

デイリー新潮編集部

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