思わず笑ってしまう…長嶋茂雄、福本豊、堀内恒夫の名言&珍言集 「勝負は家に帰って風呂に入るまでわからない」にツッコミは厳禁

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「立ちション」発言の全容とは

“世界の盗塁王”を実現した阪急の外野手・福本豊も、庶民的で味わい深い名言を残している。

 1983年6月3日の西武戦で、福本はルー・ブロックのメジャー記録を更新する世界新の通算939盗塁を達成した。この快挙を祝し、当時の中曽根康弘首相は国民栄誉賞を与えようとしたが、福本は辞退した。その理由について、「そんなもんもろたら、立ちションもできへんようになる」と語ったことはよく知られている。

 実は、この言葉は、辞退理由を担当記者に説明した際に、「立ちション~」の部分だけが切り取られて見出しに使われたのだという。

 2024年5月6日に落合博満氏のユーチューブに出演した福本氏は、41年前、記者に伝えた言葉を次のように再現している。

「麻雀を記者とようしてた。麻雀してタバコ吸う、夜中までする。(品性に)欠けてるやんか。もうそこでアウトや。国民の見本にならん。麻雀して帰りにラーメンを食う。朝飯食べて帰る。そのときにみんなやるやん、連れション、立ちション。(国民栄誉賞を受賞すると)できへんやろ」

 この中から、最もインパクトがあり、誰もが「なるほど」と納得できる表現を選んだ記者も“ファインプレー”と言えるだろう。

 現役引退後も、福本氏はテレビの解説者時代の1992年5月27日の阪神対大洋で、1対1の3回から延長14回まできれいに24個のゼロが並んだスコアボードを見て、「たこ焼きみたいやな」と表現。これまた庶民感覚溢れる名言と言えるだろう。

「しょうがないな。それじゃ、オレがスタンドに叩き込んで決めてやろう」

 名言とはややニュアンスが異なるが、大言壮語を一度ならず実現する“ミラクル”で名を馳せたのが、巨人・堀内恒夫だ。

 1967年、入団2年目の堀内は10月10日の広島戦で史上初の投手の3打席連続本塁打を記録したが、4連発を狙った7回の4打席目はシングルヒットに終わり、悔しさをあらわにした。

 だが、「まだノーヒットノーランがあるじゃないか」とチームメイトに言われ、初めて7回まで無安打無失点だったことに気づくと、「しょうがねえ。代わりにノーヒットノーランでもやるか!」と豪語。8、9回を3人ずつで抑え、史上46人目の快挙を達成した。

 さらに翌68年5月18日の産経戦、堀内は4対4の9回からリリーフしたが、味方打線は延長10回までゼロ行進。11回も2死無走者になった。

 すると、次打者・堀内はONはじめベンチの打者たちを前に「しょうがないな。それじゃ、オレがスタンドに叩き込んで決めてやろう」と宣言して打席に立つと、顔の近くに来た初球のクソボールを大根切りで左翼席に劇的なサヨナラアーチ。投手がバットを持ってヒーローインタビューに登場する珍事となった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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