思わず笑ってしまう…長嶋茂雄、福本豊、堀内恒夫の名言&珍言集 「勝負は家に帰って風呂に入るまでわからない」にツッコミは厳禁
プロ野球の名将・名選手の名言といえば、「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」(野村克也監督)、「努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力とは言えない」(王貞治)などの格言が、ビジネス本等で広く紹介されている。その一方で、名将や名選手が口にした人間味溢れる名言や思わず「クスリ」とさせられるような珍言も多く存在する。【久保田龍雄/ライター】
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「いい間違い?」と思いきや、噛みしめるほどに“深い”ミスターの名言
独特の造語センスで「メーク・ドラマ」「国民的行事」などの流行語を生みだし、コピーライターも顔負けの名言や天真爛漫な人柄そのままの珍言も多数に上るのが、“ミスタープロ野球”長嶋茂雄だ。
「勝負は下駄を履くまでわからない」も、ミスター流では「勝負は家に帰って風呂に入るまでわからない」となる。
この名言は、巨人監督時代の1996年シーズン終盤、中日、広島との三つ巴の争いから頭ひとつ抜け出し、優勝マジックが点灯した直後に披露されたものだが、いささかの油断も許されないという意味で、「下駄を履くまで~」より一層真に迫ったものが感じられる。
優勝がほぼ絶望的になった98年シーズン終盤にも、長嶋監督は「今年の巨人はまだまだネバーギブアップしません」と語気を強めた。文法的には二重否定で正反対の意味になるが、それを承知のうえで、最後まで逆転Vをあきらめない強い意気込みが伝わってきたのも事実だった。
「ジャイアンツの監督は大変ですよ。何しろ毎日がジャイアンツ戦ですからね」も、“コロンブスの卵”的な視点で、常に勝利を求められるチームの指揮官の苦しい胸中が伝わってきた。
「打つと見せかけてヒッティングだ」
選手時代にも印象深い言葉がたくさんある。練習に遅刻した際の言い訳「いやー、電車が行き先を間違えちゃって」は、明朗闊達かつユーモラスで、こんなことを言われたら、監督やコーチも怒るに怒れなかったことだろう。
「僕はね、いかにヘルメットをカッコ良く飛ばすか、鏡の前で練習したんです」は、空振り三振に倒れたときでもファンの心に残るシーンを演出しようというプロ意識の表れだった。
亜希子夫人との新婚時代に毎日しつこく付きまとう報道陣にうんざりして、「いい加減にしてよ。僕にだってデモクラシーがあるんだ!」と声を荒げた話も知られている。一瞬何のことかわからず、みんなキョトンとしたが、間もなく「プライバシー」だと思い当たったという。
監督就任後も、92年オフ、13年ぶりに巨人復帰が決まった際に「僕は12年間漏電していたんですよ」の珍言も飛び出した。「充電の言い間違い」とされているが、「浪人」と「充電」が合体した“浪電”という造語と解釈することもできる。
このほか「(代打・川相昌弘に)打つと見せかけてヒッティングだ」「(風邪でダウンした選手が相次ぎ)インフレが流行っているからな、インフレインフレ」「松井(秀喜)君もね、もう少しオーロラが出てほしい」などなど、名言、珍言においても、文句なしの4番打者と言えそうだ。
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