いま劇団四季に“男性客”が殺到しているワケ 「中高年は青春時代の思い出がよみがえるとも」
男性トイレに長蛇の列
日本でも空前のヒットを記録したハリウッド映「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の公開から、ちょうど40年。今月6日に開幕した、劇団四季の同名ミュージカルが話題だ。
【写真を見る】「デロリアン」が目の前に! 男性客を引き付けるミュージカルとは?
「イギリスのロンドン、アメリカのブロードウェイに続く上演です。すでに9月公演までのチケットは完売する人気ぶりで、会場である東京・竹芝のJR東日本四季劇場[秋]は、過去に見られなかった異例の事態に見舞われています」
と言うのは芸能デスク。
「日本のミュージカルファンは圧倒的に女性が多い。劇団四季も例外ではなく、ロングラン上演中の『アナと雪の女王』の客席は8割方が女性で埋まっています」
ところが本公演では椿事ともいえる現象が生じている。
「第1幕と第2幕の間の休憩時間は女性トイレに列ができるのが通常ですが、今回は男性トイレに長蛇の列が。第2幕が始まるギリギリ直前まで並んでいる人も見受けられるほどの大にぎわいですよ」
さえない日々を送る高校生のマーティは、ひょんなことから友人で変わり者の科学者・ドクがタイムマシンに改造した車「デロリアン」でタイムスリップ。着いた時代は30年前の1955年で、マーティは若い頃のドクの協力を得て元の時代に戻ろうと奮闘するが……。
公演初日のカーテンコールには、映画とミュージカル版の脚本を担ったボブ・ゲイル(73)が登場。「映画の脚本は42回もボツになった」と意外なエピソードを披露したが、当の映画はアメリカで“1980年代に製作された最高傑作の一つ”と評されるほどの名作だ。
「チケット3枚だったのが4枚売れる」
劇団四季の関係者が言う。
「劇団は事前に調査会社に依頼して映画『バック・トゥ~』の市場における認知度を確認しています。その結果、映画は“唯一無二”といえるほど知名度があり、性別や年齢を超えて、いまも愛されていることが分かりました。“とくに男性ファンが多い”という点が、上演を決定した最大の理由だったとか」
それは3月に稽古場で行われた、吉田智誉樹(ちよき)社長(60)の会見からも明らかだ。
先の芸能デスクの解説。
「吉田社長は“これまでは夫婦と子ども2人の4人家族の場合、お母さんと子どもたちが劇場に足を運んでも、お父さんはゴルフということが多かった”“この作品はお父さんも見たがるはずで、チケット3枚だったのが4枚売れると思う”と期待を隠しませんでした。同時に“男性トイレをどうするかの問題もあるんですが”と、騒動が起こる事態も見越していましたね」
2階建ての劇場に、男女トイレは各階1カ所ずつ。
「ただし、女性トイレは男性用より、かなり広い造りになっています」
改めて、かつての男子中高生らのハートをわしづかみした理由は、
「忠実に再現されたデロリアンに加えて、“諦めなければ何とかなる”という作品が持つメッセージが観客の共感を集めるようです。とくに中高年は青春時代の映画の思い出がよみがえるとも」
ドクが“♪頑張る彼らのほとんどが 最後までたどり着けなくても いつか必ずうまくいくさ 夢 追いかけよう”と歌う場面では、
「毎回のように客席から大きな拍手が湧き起こります。最大の見せ場ですね」
感動の前に、お手洗いに寄るのをお忘れなく――。





