プロ野球開幕から約1カ月…“驚異的な数字”を残したルーキーは誰だ? 楽天、西武、阪神、ヤクルトなど「9選手」をピックアップ!

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四死球の少なさが示す制球力

 一方、投手でここまで見事な活躍を見せているのが、社会人出身の伊原陵人(NTT西日本→阪神1位)だ。中継ぎとして一軍入りを果たすと、開幕から6試合連続無失点をマーク。

 そして、プロ初先発となった4月20日の広島戦でも5回を投げて無失点、5奪三振の好投でプロ初勝利をあげた。ここまで7試合、13回1/3を投げて防御率は0.00で、1イニングあたりの被安打と与四球で示すWHIPも0.60と抜群の安定感を見せている。

 ストレートは140キロ台中盤とそこまでスピードがあるわけではないものの、打者の手元でホップするような球筋は、今永昇太(カブス)を彷彿とさせるものがあり、四死球の少なさからも分かるようにあらゆるボールの制球力が高い。

 阪神の投手陣は強力だが、左の先発は、高橋遥人がオフに受けた手術の影響で出遅れているほか、富田蓮と門別啓人といった若手しか見当たらない。今後も伊原にかかる期待は大きくなりそうだ。

驚異的な奪三振率

 セ・リーグの投手でもう1人大きな戦力となっているのが、伊原と同じ社会人出身の荘司宏太(セガサミー→ヤクルト3位)だ。

 ここまでリリーフで7試合に登板していずれも無失点と好投。4月20日の巨人戦では初めてのイニングまたぎとなったが、2回をパーフェクトに抑えて、首脳陣の期待に応えた。

 特筆すべきは奪三振の多さ。ここまで8イニングを投げて13個の三振を奪っており、奪三振率は14.63。驚異的な数字となっている。

 しっかり腕を振って投げるチェンジアップは“魔球”と形容したくなるほどのブレーキと落差があり、プロの選手も完全に体勢を崩されるような空振りを喫することが多い。

 大学、社会人時代は少しコントロールに不安を残していたが、ここまではわずか2四球と制球面が安定してきた。慢性的な投手不足に悩むヤクルトにとっては救世主的な存在であり、今後も大事な場面で起用されることが多くなるだろう。

 その他でも、投手では、江原雅裕(日鉄ステンレス→楽天4位)、岡本駿(甲南大→広島3位)がリリーフとして存在感を示しており、野手も麦谷祐介(富士大→オリックス1位)と山中稜真(三菱重工East→オリックス4位)が一軍の戦力となっている。

 これに加えて、高卒ルーキーも柴田獅子(福岡大大濠→日本ハム1位)が4月20日のオイシックスとの二軍戦で先発登板。三者連続三振の鮮烈な実戦デビューを飾っている。まだまだシーズンは始まったばかりであり、ここから調子を上げてくる選手も多いはずだ。今後もルーキーたちのプレーぶりにぜひ注目して頂きたい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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