安倍政権事務方の責任者が明かす「トランプとのディールの必勝法」 日本が切れる二つのカードとは

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「ボスに良い報告を上げられるようにしてあげればいい」

 資源のない日本が必需品を輸入できれば、互いに良い交渉となるわけだ。

「前回の日米交渉では、ロバート・ライトハイザー通商代表(当時)が“米国にとって良いディールになりました”と言うと、トランプ氏は満足したそうです。今回も日本がお膳立てをして、交渉相手がボスに良い報告を上げられるようにしてあげればいい。ボスが喜ぶストーリーをうまく説明するのはトランプ政権の人間。そういう意味ではベッセント氏と通商代表部代表のジェミソン・グリア氏に期待するしかないですね」(渋谷氏)

 米国政治と外交が専門の上智大学教授・前嶋和弘氏は、こう指摘する。

「今のトランプ政権は、大統領が『黒』と言えば『白』でも『黒』になってしまいますから、日本にとってのキーパーソンは大統領しかいないに等しい。交渉が日本にとって有利になる余地があるとすれば、債券市場が微妙な米国経済がいかに悪化していくか。それが鍵となる可能性はあります。時間が味方になってくれるかもしれません」

 ただでさえ予測不能のトランプ政権。肝心の交渉役が脆弱な石破官邸ゆえ、国民の不安は尽きないのだ。

前編【「アベノミクスで1000億円儲けた“ウォール街の殺し屋”」 トランプ関税で日本を待ち受けるベッセント財務長官の正体】では、関税を巡って交渉相手となる二人の大物の素顔について紹介している。

週刊新潮 2025年4月24日号掲載

特集「予測不能なトランプに石破官邸は脆弱すぎる 不安だらけの日米関税交渉」より

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