「だまされて連れてこられたわけではなく…」 155人の「中国人」がロシア軍に志願した理由

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少なくとも155人が参加

 終わりの見えないウクライナ戦争は、北朝鮮人だけでなくネパール人、インド人、スリランカ人なども参加する“多国籍戦争”でもある。さらに、4月9日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシア軍に少なくとも155人の中国人が兵士として参加していると発表した。

 東部ドネツク州でウクライナ軍の捕虜となった33歳と26歳の中国人が尋問に答える動画も公開しており、26歳の兵士は江西省出身、200万ルーブル(約350万円)の報酬を約束するロシアのオンライン広告を見て応募したという。

 これに対し中国外務省の林剣副報道局長は「無責任な言論はやめるべきだ」と否定しているが、仏ル・モンド紙が中国人兵士約40人分のSNSアカウントを発見したと報じるなど、以前からロシア軍には中国人兵士がいるとみられてきたのも事実だ。

 元産経新聞中国総局記者でジャーナリストの福島香織氏によると、

「ウクライナ戦争に関して中国政府は表向き距離を置いており、ロシアに武器や軍装備を供与していません。しかし、民間人の場合は別です。とはいえ政府はTikTokなどのSNSは常に監視しており、中国人のロシア軍参加を全く知らなかったとは考えにくい」

「友邦ロシアを助けるために来た」

 では、どんな中国人がロシア軍に入隊するのだろうか。

「中国の『徳潤傳媒』というメディアが、このことを報じていますが、中国人の志願兵がモスクワで訓練を受けている様子の動画や河北省唐山市出身の3人の中国人青年が志願してロシア軍に入ったというインタビュー動画もあります。彼らのことを“過激な小粉紅(シャオフェンホン)”としていますから、いわば習近平に傾倒する愛国青年。“友邦ロシアを助けるために来た”と話しています」(福島氏)

 一方、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が言うには、

「捕まった中国人兵士の尋問動画を見ると、外国語も話せないし、もちろん人民解放軍兵士としてのキャリアを持っているようには見えません。また、だまされて連れてこられたわけでもない。おそらくは、金を稼ぐためにロシア軍に飛び込んだ低所得層の人たちでしょう」

 日本やシンガポールには中国人富裕層が次々と逃げてきているという。低所得者の行きつく先がロシア軍とは……。

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