推定1000万円以下の選手も…年棒が安くても大活躍中、ファンも喜ぶ“コスパ良”な「4選手」をピックアップ

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 プロ野球選手の最も分かりやすい評価を示すものが年俸である。近年では主力選手の多くが年俸1億円以上となり、フリー・エージェント(FA)で移籍した選手は複数年の大型契約を結ぶケースが増えている。ただ、年俸はあくまでもこれまでの実績を反映したものであり、昨年まで結果を残していなかった低年俸の選手が突然活躍を見せることもプロ野球では珍しくない。今シーズン、“コスパ”の良さを発揮している選手は誰がいるのだろうか、探ってみた(成績は4月21日終了時点)。【西尾典文/野球ライター】

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「とにかくボールの質が良い」

 投手で真っ先に名前が挙がるのが、前田純(ソフトバンク・推定年俸750万円)だ。日本文理大から2022年の育成ドラフト10位で入団。2年目の昨シーズンは開幕から二軍で結果を残して7月に支配下登録されると、9月29日の日本ハム戦では一軍初先発で初勝利をマークしている。

 今年も層の厚い投手陣の中で開幕ローテーション入りを果たすと、ここまで3試合に先発。勝利こそあげていないが、防御率は1点台と安定した投球を見せている。そんな前田はドラフトでの順位でも分かるように、高校や大学時代は決して評判だった選手ではない。

 ただし、他の投手にはない武器があったと球団関係者は話す。

「(身長189cmと)あれだけ大きいのに、フォームのバランスが良くて、しっかり狙ったところに投げられていました。それと、とにかくボールの質が良い。スピードは130キロ台でも打者が差し込まれることが多いです。150キロが出ても簡単に打たれる投手もよくいますから、前田を見ていると、球速だけではなくて、ボールの質が大事だとつくづく感じさせられますね」

 筆者も大学4年春に出場した全日本大学野球選手権で、前田の投球を見たが、その時のストレートの最速は135キロで、大半が130キロ台前半だった。いくら大型左腕でも、この球速はドラフト候補としてかなり物足りなかった。しかしながら、プロ入り後に持ち味だったボールの質と制球力を磨いたことが、一軍の先発ローテーション定着へと繋がった。

開幕ローテ入りし、プロ初勝利もマーク

 前田と同じ先発左腕で貴重な戦力となっているのが、石川達也(巨人・推定年俸1600万円)だ。横浜高では藤平尚真(楽天)と二枚看板として活躍し、3年夏には甲子園に出場。法政大では怪我に苦しんだ時期もあったが、2020年の育成ドラフト1位でDeNAに入団した。

 2年目には支配下に昇格すると、リリーフとして一昨年は28試合、昨年は15試合に登板している。いずれも防御率1点台と結果を残したが、昨年オフの契約更改では、育成再契約を打診されて退団し、巨人に移籍した。

 オープン戦から結果を残して開幕ローテーション入りを果たすと、3月30日のヤクルト戦では5回を無失点の好投でプロ初勝利をマーク。その後の試合では援護がなく負け投手となったものの、ここまで4試合に先発して防御率は1.89と安定感を見せている。

 ストレートは驚くようなスピードはないが、ブレーキ抜群のチェンジアップと小さく変化するカットボールとのコンビネーションは大きな持ち味だ。巨人は、長年投手陣を支えてきた菅野智之(現・オリオールズ)がメジャーに移籍し、エースの戸郷翔征は、不調で二軍調整中だ。今後も石川にかかる期待は大きい。

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