ロシア軍“突撃専門”の自殺部隊「ストームZ」に“中国人傭兵”が…バフムートの激戦でも「兵士150人のうち生存者は15人」の玉砕戦法

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恐怖の懲罰部隊「ストームZ」

「プーチン大統領の右腕」とも呼ばれた実業家、エフゲニー・プリコジン氏が創設した民間軍事会社「ワグネル」は、ロシア軍がウクライナ軍の反撃で多数の兵士を失ったことから、約4万8000人の囚人を傭兵として採用した。

 プリコジン氏は自ら刑務所に赴き、「戦場で生き残った者には恩赦が与えられる」との甘言で重罪の囚人をスカウトした。だが囚人が配属されたのは突撃専門という、戦死の可能性が極めて高い特別部隊だった。

 2022年7月から約4万8000人の囚人を傭兵として採用。その大半がドネツク州の激戦地に投じられ、州を制圧するため1万7175人が戦死した。35・7%という戦死率は非常に高いが、受刑者以外の戦死者は2372人と少なかったことも注目を集めた。計算すると戦死者の88%が囚人兵だった。

 プリコジン氏はプーチン大統領との関係が悪化し、2023年8月に飛行機事故で死亡した。今でも暗殺説が根強いことをご存知の方も多いだろう。

 ロシア軍はワグネルの囚人兵に関心を持っていたことに加え、プリコジン氏の死亡で仕事が発注できなくなったこともあり、ストームZを創設した。

 ロイターが2023年10月6日に配信した「焦点:ロシア軍懲罰部隊『ストームZ』、弾薬も食料もなく前線投入」との記事によると、飲酒や命令違反などが発覚して懲罰の対象となったロシア兵と、ワグネル流の囚人兵からストームZは構成されているという。

中国人傭兵の戦死者は増加

 23年6月、バフムートの激戦地にストームZの兵士120人が投入されたが、生き残ったのは15人に過ぎなかったとロイターは伝えた。この場合、戦死率は87・5%という異常な数字となる。これでは懲罰部隊というより自殺部隊だろう。

 この懲罰部隊に中国人傭兵が配属されているとキーウ・インディペンデント紙は報じた。しかし、これはおかしいと誰もが思うだろう。彼らは契約を結んでロシア軍に雇用されたのであり、軍紀やロシアの法律に違反したわけではない。

 同紙によると、ロシア軍は突撃作戦にこだわっており、結果として兵士の戦死率が非常に高い。そしてロシア軍はロシア人の兵士を突撃させることには消極的なのだという。ロシア人兵士の身代わりを求めて外国人傭兵の獲得に資金を投じ、ストームZのような突撃部隊に送り込んでいるのだ。

 4月11日、ゼレンスキー大統領は少なくとも数百人の中国人傭兵がロシア軍に参加していると発表した。ウクライナの情報機関は163人の中国人傭兵については個人情報を把握しているという。

 キーウ・インディペンデント紙はストームZに配属された2人の中国人傭兵が戦死したことを報道。中国人傭兵の戦死者は増える一方で、同紙は「遺族に対して40万元(約770万円)を支払う必要が生じているが、支払いは頻繁に遅延している」と伝えた。

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