ウクライナで拘束の「中国人兵」が衝撃の暴露…敵軍の居場所を割り出せれば「外国人兵が戦死しても構わない」というロシア軍のヤバすぎる本音
水道も電気もない訓練施設
男性は戦闘に参加したことはもちろん、武器に触ったことさえなかった。モスクワで契約書にサインした際、担当者は「負傷兵へのリハビリを担当するとしたら、ウクライナ兵と戦闘する必要はない」と言った。
徴兵センターではカザフスタン人、ガーナ人、イラク人など約20人の外国人を目撃した。ロシア軍が様々な国から傭兵をかき集めているのは明らかだった。
次に訓練用のキャンプに送られた。ここでロシア軍は本性をあらわにした。キャンプの至るところに歩哨が立っていた。男性がトイレに行くと、実弾を込めたライフルを持つロシア兵が後をついてきた。逃げることは不可能だと理解した。
さらに携帯電話とカード類を没収された。そのため「20万ルーブルから30万ルーブルが支払われる」と約束された月給が実際に支払われたのか、確認する手段がなくなってしまった。
数日後、キャンプから移動するよう命じられた。タタール共和国に立ち寄り、さらにモスクワから200キロ離れたロストフという都市に到着すると、軍の施設に収容された。多数の外国人傭兵が生活していたが、水道も電気もないという劣悪な環境だった。
やらなければならないことは山のようにあった。ひどい時は朝の4時や5時までぶっ続けで働かされた。食事は1日に1回か、2日に1回。徹夜明けの疲れ切った体に「生の米をひとつかみ」しか渡されないこともあった。
無数のウクライナ軍ドローン
ロシア軍の担当者は「もし戦場でウクライナ兵に捕まったら残虐な方法で殺される。そして写真を撮られ、写真は故国の友人や家族に送られる」と事実無根のデマで外国人傭兵を脅していた。傭兵を恐怖でコントロールしようとしたのだろう。
4月4日、ロシア軍が攻撃を続けるウクライナのドネツク州に男性は派遣された。配属先は最前線で展開する「第7」という部隊だった。ウクライナのメディアはロシア軍の第7独立自動車化狙撃旅団だった可能性があると指摘している。
指揮官は中国語を話せないし、男性はロシア語を教えられていない。指揮官と身ぶり手ぶりで意思疎通を図っていると、3日間が経過した。
4月7日ごろ、あるロシア兵が男性の名前を呼び、銃声の口まねをして攻撃開始を伝えた。兵士たちはロシア軍が作った掩体壕(えんたいごう)をいくつも通過しながら進軍した。
しばらくすると上空が無数のウクライナ軍ドローンで埋め尽くされた。激しい攻撃に数人の兵士が戦死し、他の兵士はすぐに降伏した。
男性はウクライナ兵に捕らえられた。ウクライナ軍の塹壕に入れられると、ロシア軍が塹壕を攻撃してきた。
ロシア軍が少人数の突撃部隊を戦死は前提として前に進ませ、ウクライナ軍の位置を探ろうとしていたと考えられる。
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