侍ジャパン・井端監督も注目する“公立進学校”のエース スカウトが熱い視線を送る「芹沢大地」と「浜岡蒼太」とは!?
強豪校からの誘いもあった
そして、もう1人。今春、高い注目を集めているのが、浜岡蒼太(川和)だ。川和は、東京大などにも合格者を出すほどの神奈川県で上位の進学校であり、慶応大を経て、2007年の大学生・社会人ドラフト1巡目でプロ入りした加藤幹典(元ヤクルト)の母校としても知られている。
浜岡は地元中学の軟式野球部でプレーしており、当時から130キロ台のスピードをマークしていたこともあって、県内の強豪校からの誘いもあったそうだが、自らの考えに合う環境ということで川和への進学を選んだという。
高校でも入学直後から公式戦で登板し、1年秋にはエースへと成長。昨年秋の県大会では東海大相模を相手にサヨナラ負けを喫したものの、3失点完投と好投したことで、一躍注目された。
浜岡が注目を集めている理由としては、芹沢とは異なり、昨年の時点で早くも高校からのプロ入りを希望すると表明した点も挙げられる。3月に本人に話を聞いた時にも、高校入学時点からその考えは持っていたとのことだった。
そして、浜岡の評価がより上がることになったのが、4月6日に行われた春の県大会、1回戦でのピッチングだ。相手は神奈川の強豪、日大藤沢だったが、そんな難敵を相手に延長11回を1人で投げ抜き、13奪三振、3失点(自責点2)で完投勝利を飾った。
芹沢選手、浜岡選手の共通点とは
ストレートは144キロと芹沢には及ばなかったが、自信があると話していたカットボールが冴えわたっていた。また、身長177cm、体重87kgと体つきもしっかりしており、終盤まで球威、制球が大きく落ちないスタミナ面も持ち味だ。浜岡について、担当スカウトはこう話している。
「去年の秋の時点では、正直に言って、大学に行った方が良いと思っていましたが、冬の間にかなり成長したように見えます。トレーニングなどに対する意識が高そうですよね。フォームも以前は上を向いているような投げ方で高めに抜けるボールが多かったですが、今はだいぶ抑え込めるようになりました。高校生の左投手であれだけのスピードと変化球があって、しっかり試合を作ることができれば当然、ドラフト候補になってくると思います」(パ・リーグ球団スカウト)
ピッチングを見る限り、芹沢のような圧倒的なボールの勢いはないため、上位候補というレベルではない印象だが、それでもスカウトのコメントの通り候補になってくる可能性は高そうだ。
芹沢、浜岡の共通点は、自らの意思で進路を決め、その環境の中でレベルアップしてきたということである。プロに行くためには強豪校でプレーするというのも近道かもしれないが、以前に比べて得られる情報は格段に増えているだけに、自分の特性に合った環境を選ぶというのも極めて重要である。
そういう意味では、高校野球にも“多様性”の時代が訪れていることは間違いないだろう。そんな中でこの2人がどこまで成長していくのか。今後のプレーぶりにぜひ注目してもらいたい。
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