侍ジャパン・井端監督も注目する“公立進学校”のエース スカウトが熱い視線を送る「芹沢大地」と「浜岡蒼太」とは!?
「1位指名間違いなし」と言えるような目玉が不在と見られている今年の高校生ドラフト候補。その一方で、いわゆる強豪校ではない“公立高校”に所属している本格派サウスポー2人に高い注目が集まっている。【西尾典文/野球ライター】
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【写真を見る】スカウトが注目する「2人のエース」はともに公立の進学校に通う
中学時代は全く無名の選手
1人目が芹沢大地(高蔵寺)だ。高蔵寺は2014年夏に愛知大会でベスト8に進出し、当時のエースだった井村勇介(Honda鈴鹿)は、現在も社会人で主戦投手として活躍しているが、それ以外は目立った実績はない。
むしろ、名古屋大にも毎年合格者を出すなど、尾張地区では進学校として知られている。芹沢も中学時代は全く無名の選手であり、甲子園常連校などからの誘いはなかったそうだ。
そんな芹沢の名前が一躍関係者の間で知れ渡ることになったのが、昨夏の愛知大会だ。チームは4回戦で名城大付に敗れたものの、リリーフで登板すると、5回1/3を投げて7奪三振と好投。ストレートの最速は145キロをマークしたのだ。この試合を侍ジャパンの井端弘和監督が、個人的に視察するなど、芹沢に対する評価がアップした。
筆者が実際に芹沢の投球を見たのは、昨秋の県大会、対桜丘戦だ。ストレートは最速146キロをマークし、6回を投げて被安打2、10奪三振で無失点。圧巻のピッチングだった。
試合は、リリーフで登板した投手が打ち込まれて、チームは敗れたものの、11月に行われた愛知県選抜と三重県選抜の交流戦でも選抜チームに選ばれると、今年4月にはU18侍ジャパン代表候補合宿にも召集されるまでになったのだ。
プロ志望届を提出せずに社会人に、という噂も
この合宿での紅白戦でも芹沢は2回を投げて4奪三振と見事な投球を見せている。大きな大会の出場経験がないため、実際初めてその投球を見たというスカウトは、紅白戦後に興奮気味にこう話してくれた。
「評判には聞いていましたが、想像以上ですね。あの体(身長182cm、体重67kg)であれだけのボールを投げられるというのが驚きです。キャッチボールや投球練習の腕の振りからちょっと他のピッチャーとは違いますよね。ストレートは(合宿に参加している)どの投手よりも良かったですし、体ができれば、まだまだ良くなると思いますね。本当にびっくりしました」(パ・リーグ球団スカウト)
合宿には全国の強豪から選手が集まっており、甲子園出場経験のある選手も多かったが、その中でも圧倒的なインパクトを残したのは芹沢だった。スカウト陣の間ではプロ志望届を提出せずに社会人に進むという噂も聞かれ、本人もあらゆる面でレベルアップしてからプロを目指したいという意向とのことだったが、前出のスカウトも「(志望届を出さないのは)もったいない」と話しており、ポテンシャルの高さは今年の高校生では屈指と言えそうだ。
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