「日本は軍事的にある程度自立するべき」 世界は第2次世界大戦と同じシナリオをたどるのか… 専門家が警鐘
世界中に衝撃を与えている「トランプ関税」。日本大学危機管理学部教授の先崎彰容氏は、リーダーが不在となった世界で、「日本は軍事的にも経済的にも自立するべき」と主張する。
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石破首相が述べた「新型コロナウイルス対策に匹敵する対応を」との言葉に、「トランプ関税」を考えるヒントが潜んでいます。
少子化に苦しむ日本は、インバウンドをはじめ外需に頼る形で、国内需要の落ち込みに対処してきました。つまり、グローバル資本主義の恩恵に浴してきたわけです。
そのような姿勢である以上、頼りにしていた海外で問題が発生すれば、影響を大きく受けるのは当たり前です。コロナ禍で観光業が打撃を受けた、ウクライナ侵攻で物価が上がった……「トランプ関税」もそういった“外圧”による問題の一つだと位置付けることができるでしょう。人為的なコロナ禍と言ってもいい。
ではどうすれば“外圧”に幾度もあたふたせずに済むのか。私はいま一度、内需に比重を置いた日本経済のあり方を模索すべきだと思います。
内需中心の経済のメリット
例えば、商店街の服屋で買い物をしたとします。服屋の店主は売り上げで知人が営む居酒屋に行き、居酒屋の店主は商店街で買い出しをする。この商店街はローカルで経済活動を行っているため、日本経済が危機に陥っても、その影響は少ないもので済むはずです。内需中心の経済にも、メリットはあるのです。
もちろん、グローバル資本主義を捨てろとは言いません。しかしそれによる混乱も目立ってきた現在、「トランプ関税」を機に、外需と内需のバランスを考え直してもよいのではないでしょうか。
本来であれば、グローバル経済と国内経済、双方の“弁”を調節するのが政治の仕事です。トランプ氏はグローバル経済の弁を、今回あまりに急に閉じました。その結果、株価の下落や物価上昇など、さまざまな問題が生じています。
にもかかわらず関税政策を推し進めるのは、米国内に第2次世界大戦前を彷彿とさせる“閉塞感”が満ちているからでしょう。
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