「仲本をオレんとこによこせや」 ドリフ「仲本工事さん」が感激…“稀代の名優”が口にした「人生で一番の言葉」

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 コラムニストの峯田淳さんが綴る「人生を変えた『あの人』のひと言」。日刊ゲンダイ編集委員として数多くのインタビュー記事を執筆・担当し、現在も同紙で記事を手がけている峯田さんが俳優、歌手、タレント、芸人……第一線で活躍する有名人たちの“心の支え”になっている言葉、運命を変えた人との出会いを振り返ります。第12回はザ・ドリフターズのメンバーとして活躍した仲本工事さん。あの大物俳優との意外な交友録が明かされます。

きっかけは、ひょんなことから

 出演した番組「8時だョ!全員集合」(TBS系)が視聴率50%超を稼いだ、往年の「バラエティーの王様」、ザ・ドリフターズ。メンバーの中でも体操部出身、学習院大卒という異色の経歴の持ち主が仲本工事(享年81)だった。

 最初にお会いしたのは10年前、ひょんなことがきっかけだった。それを機に数回お目にかかったが、22年に横浜市内で不慮の事故に遭い、それが原因で亡くなったのはあまりにも思いがけない出来事だった。当時のことを、思いつくままに書いてみたい。

 紹介してくれたのは女優の東てる美だった。取材で東に話をうかがった後、「これから仲本さんが始めた店に行く」という。筆者は当時「タレントが通う店やってる店」という連載も担当していたので、これは渡りに船と、ご一緒させてもらうことになった。

 店は仲本の再々婚相手で歌手の三代純歌とやっている「仲本家 JUNKAの台所」。東急大井町線緑が丘駅から歩いて数分の住宅街にあった、こぢんまりとしたおばんざい居酒屋だった。

 カウンターには純歌手作りの「パルメザンチーズポテトサラダ」「春菊と豆腐の白和え カツオ節添え」といった大皿の創作料理が並び、入口横では仲本本人が焼き鳥を焼いていた。

 その日は挨拶代わりに飲みながら取材のお願いをし、後日、時間をとってもらうことになった。改めてうかがった時は、正面奥のテーブル席にドリフメンバーの加藤茶(82)と綾菜夫人(37)の姿があり、焼き場にはお手伝いで来ている俳優の江藤潤(73)の姿もあり、芸能酒場みたいだった。

 そしてこの時、図々しくも、仲本にドリフ時代を語ってもらう連載もお願いした。だが、2度、取材に応じてもらったものの、残念ながら連載は実現しなかった。ドリフ時代を振り返る記事はもうできないだろうと諦めていた。

 ところがその4年後、これまたひょんな流れで「アサヒ芸能」で、上下2回の記事がOKになった。この時は仲本が居酒屋の隣で経営していたカラオケスナックで追加取材を行った。

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