“デジタル万博”の会場でなぜスマホが不通なのか…「大阪・関西万博」の貧弱すぎる通信環境をITジャーナリストが分析

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改善の余地はあるのか

井上氏:テストランの際に看板が少ないという声も上がっていました。会場内に地図を掲げることは、最低限やらなければならないでしょう。スマホのマップを見て回れということですが、そもそも電波状態が良くないわけですし、スマホを使い慣れない高齢者だっている。児童や生徒を引率する先生だって、スマホを見ながらではハードルも高くなるでしょう。そもそも“歩きスマホ”を推奨する気なのでしょうか。

――おかげでスマホの充電が急激に減ったと嘆く人も見られた。

井上氏:大勢が集まるにもかかわらず基地局が少ないわけです。そんな中で通信しようとすると、スマホは空いている基地局を探そうとしますから電力を食うのです。通信環境が本当に貧弱なのでしょう。それで“最先端デジタル”なんて……。

――なぜこんなことになってしまったのだろう。

井上氏:とにかく開催することだけしか考えてなかったのではないでしょうか。他のことを考える余裕がなかった。つまり、大規模イベントを仕切ることができる人がいなかった。石毛事務総長はもともと経産省の官僚で中小企業庁長官も務めた方ですから、中小企業の多い大阪なら適任と思われたのかもしれません。しかし、適任ではなかった。もっと国際的な知見を持つ方をトップに据えるべきだったかもしれません。

――では、今後も好転しないということに?

井上氏:一度外した電通を呼び戻すしかないのでは。ここまで酷いと専門家に来てもらうしかないでしょう。

――開幕後に呼び戻したところで、改善できるのだろうか。

井上氏:すぐにどうにかなるというわけではないでしょうが、今からなら夏休みまでには何とかなるはずです。もちろんお金はかかるでしょうけど。それでも何とかしなければ、大阪・関西万博はまるで探検家が修行に行くようなものになってしまう。予約を取って、雨具からスマホの予備バッテリーまで全部こちらに用意させて、会場内の手荷物預かりは1万円なんて……。せっかく万博に行かれた方にはいい思い出にしてほしいですからね。

デイリー新潮編集部

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