韓国で「嫌中」がすごいことになっている 相次ぐスパイ行為&デモ工作疑惑…“北朝鮮並み”の扱いに

国際 韓国・北朝鮮

  • ブックマーク

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領の罷免で揺れる韓国。6月の次期大統領選に社会の注目が集まるなか、政局とは別のところで「中国」をめぐるニュースに国民は関心を寄せているという。ジャーナリストのノ・ミンハ氏がレポートする。

 ***

 4月7日、京畿道・水原市にある空軍戦闘飛行団の基地内を無断で撮影していた容疑で、中国国籍の10代の若者2人が逮捕された。

 現場となったのは「第10戦闘飛行団」。北朝鮮によるミサイル攻撃を想定し、KF-5などの戦闘機の出撃拠点である。ソウルや京畿道といった首都圏の空域を防衛する重要拠点という位置づけの施設だ。

 軍施設の周辺をうろついていた2人を不審に思った住民が通報し、その後、軍憲兵隊により身柄が確保された。取り調べには「普段から飛行機の写真を撮るのが趣味」と述べたというが、その足取りは怪しい。3月20日ごろに観光ビザで入国した2人は、観光地には向かわず、もっぱら軍事基地や保安区域に立ち寄っていたのだ。2人のスマートフォンには基地や戦闘機を隠し撮りしたとみられる画像が大量に保存されていたという。

 警察庁は「観光以外の目的で入国したと疑っており、捜査を進めている」としている。また逮捕翌日の8日には、逮捕されたうちの一人が「父親が公安部所属」と供述したことを、警察が明らかにした。

 じつは尹錫悦政権が発足して以降、中国国籍の人物が軍事基地などを無断で撮影し摘発される事案がたびたび起きているのだ。

「留学中の大学生」のはずが…スマホには公安部幹部の連絡先

 たとえば昨年6月には、釜山の海軍基地に入港していたアメリカの原子力空母「ルーズベルト号」をドローンで無断撮影したとして、3人の中国人が逮捕されている。彼らは「韓国に留学中の大学生」とされていたが、所持品のスマートフォンとノートパソコンを押収し、データを解析して犯罪の証拠収拾を行う「フォレンジック分析」を警察が実施したところ、ルーズベルト号以外の潜水艦の写真も発見された。さらに2022年9月から釜山海軍基地近隣の山中で撮影準備を進めていたことも判明。保存した写真や映像は計530件に及ぶという。スマートフォンには、中国の公安部の幹部2人の電話番号が登録されており、彼らと連絡を取っていた形跡も確認されている。

 昨年11月にもソウル市江南区でドローンを飛ばし国家情報院の施設周辺を撮影していた中国人が逮捕されているし、今年1月には済州国際空港を無断で空撮していた中国人が摘発された。済州国際空港は、国家重要施設の「最高等級」に指定されている施設だ。これら一連の事案について、単なる無断撮影ではなく、中国の国家ぐるみのスパイ行為とする見方が強い。

次ページ:金銭で情報を流した軍人が逮捕

前へ 1 2 3 次へ

[1/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。