「中国に関税をかけるのは分かるけど…」ケント・ギルバート氏が語る相互関税 「トランプさんの行動は米国人から見ても理解不能」

国際

  • ブックマーク

【全2回(前編/後編)の後編】

 世界中に衝撃を与えている「トランプ関税」。カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏は、この状況について「米国人から見ても理解不能」と語る。

 ***

 関税については目的がいろいろとあって、一つは制裁的な意味合いです。

 相手国が不正に為替操作をしているとか、過度な補助金を出して安く商品を輸出しているとか。そういう行為に対してペナルティーを科して、自国の商品がフェアに競争できるようにする。

 今回の「トランプ関税」も制裁的な意味合いが大きいわけですよね。トランプさんは各国に対して“貿易不均衡だ”と言っている。日本に対してもそう。だけど肝心の関税率を、どうやって計算したのか。

 そもそも貿易不均衡は、物販だけでなくサービス業も含めて検討しないといけない。彼は非関税障壁の存在を主張しますが、さまざまなことを考慮しても、日本への関税率24%という数字に何の根拠があるのか分かりません。

「中国に関税をかけるのは理解できるが……」

 もちろんトランプさんの発表した計算式なども読みましたが、分からない説明でした。彼を支持する人は賛成でしょうけど、本音を言えば僕は理解できなかった。本当にトランプさんは日米貿易の実態を分かっているのか。僕はアメリカ人だけど日本のことを知っていますからね。はたして他の国に対しても、ちゃんと理解した上で関税をかけたのか、不安を持つわけです。

 例えば中国に対して関税をかけるのは僕も理解できますよ。中国は不正だらけだからね。カナダとメキシコに対して、これ以上、不法移民とか違法薬物をアメリカに流入させないためというのも分かります。

 彼らは不正な行為を防ごうとする努力を十分にしていない、もっとやれよと。早急な対策を取ってもらいたいから関税をかけるのならば理解し、賛成する。実際に関税をかけられた国々も、努力すれば解除されるかもしれないでしょう。現時点で日本を含め約70の国・地域が交渉を申し込んでいる。

 そうやって関税発動の根拠をキチンと明らかにすべきなのに、トランプさんはほとんど全ての貿易相手国に一気に関税をかけた。4年も任期があるのに急いでやる必要があったのか。それぞれの国に改善してほしいところを明示して、さもなければ関税をかける。そう言えばいいのに、日本に対しては明確な理由を示していないのは、ディールのやり方としてもアンフェアです。日本はどうすればトランプさんが満足するのかが分からず、材料不足で交渉できない状況になってしまっていますからね。

次ページ:「アメリカ人から見ても、トランプさんのやり方は『違う』」

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。