新天地・巨人で開幕3連勝、古巣は3連敗…甲斐拓也はそこまで凄いのか? 打率急上昇の理由
昨季パ王者への影響は……
一方、開幕スタートダッシュに失敗したのがソフトバンクだ。14日現在14試合のうち、海野隆司捕手が10試合、谷川原健太捕手が3試合、渡邉陸捕手が1試合でスタメンマスクをかぶっている。
悪い意味で衝撃的だったのが、昨季14勝で最多勝のタイトルを獲得したエース・有原航平投手のピッチング。ロッテとの今季開幕戦(みずほPayPayドーム)に先発し7回7失点。2度目の先発の今月4日・西武戦でも4回途中6失点と炎上し、連敗を喫した。昨季は登板した26試合全てで甲斐とバッテリーを組んでいたが、今季のこの2試合は谷川原と組んだ。
「いまソフトバンクにいる20代の捕手たちは、昨季まで圧倒的な正捕手だった甲斐と比べると、試合の流れを読む洞察力、相手打者の狙いを察知する観察力、投手の調子の悪い時に配球を工夫して何とか試合をつくり引き出しの多さなど、どれを取っても遠く及びません。また、無類のブロッキング技術を持つ甲斐がマスクをかぶっていれば、投手はワンバウンドになるフォークのような球を投げる時にも、安心して腕を振ることができました。これも余人をもって代えがたいところです」(ソフトバンク担当記者)
捕手は何よりも経験がモノを言うポジションで、プロ球団の正捕手を1人つくるのには時間と手間がかかると言われる。他球団でも捕手は貴重で、緊急補強が効くポジションでもない。今季のソフトバンクは近藤健介外野手、柳田悠岐外野手ら打線の軸が相次ぎ故障で戦列を離れる中、4番の山川穂高内野手が調子を上げ、それに伴い白星も増えてきた。とはいえ、捕手の育成は今季の最終順位を左右するポイントになりそうだ。
戸郷は3戦2敗で2軍落ち「投手とのコミュニケーションには時間がかかる」
一方、好スタートを切った巨人にも不安は噴出している。2年連続開幕投手を務めた戸郷翔征投手は3試合0勝2敗、防御率11.12の不振で2軍調整となった。開幕戦では甲斐のサインに対し盛んに首を振るシーンも見られた。
「いくら経験値の高い甲斐でも、新しいチームで投手陣と一からコミュニケーションを取り、それぞれの特性を把握するには時間がかかって当然です。確かに、開幕戦の戸郷は昨季までに比べてフォークが少ない印象を受けました。シーズンを経ていくうちにリードは深みを増していくでしょう。もともと期待していなかった打撃でもこれほど貢献している以上、休養目的以外で甲斐を外す理由はない。ただ、これから先、全く打てなくなったような時に、阿部監督がどう判断するか注目されます」(前出の球界OB)
甲斐の売り物の1つであるシーズン盗塁阻止率は、2021年には自己最高の.452を誇っていたが、昨季は2017年のレギュラー獲得以降で初めて3割を切り、パ・リーグ5位の.284に終わった。逆に、28歳の巨人・岸田は成長著しく、昨季セ・リーグトップの.475をマークしていた経緯もある。甲斐が本当に新天地で真価を問われるのは、ペナントレースが佳境を迎えるシーズン終盤かもしれない。
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