「為書きの入ったサイン色紙は売れない」はカン違い…プレミアがつくサイン色紙の知られざる「3条件」とは

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サインの高額転売「ぼったくりですよ」

 人気イラストレーターの岸田メル氏がファンにあてて描いたサイン色紙が、フリマサイトやオークションサイトで約20~30万円の高額で転売され、波紋を呼んでいる。SNSでもこの問題が多く取り上げられ、“転売屋”を責める声が上がるだけでなく、転売屋から買った人に対しても“本当のファンじゃない”などと批判する声が相次いだ。

 岸田氏は「花咲くいろは」をはじめとするアニメや「ルルアのアトリエ」などのゲームでキャラクターデザインを務め、Eテレの番組「コノマチ☆リサーチ」に出演するなど、多岐にわたって活動するマルチタレント的な顔をもつイラストレーターである。

 岸田氏は今回の騒動に対し、「ぼったくりですよ」と公言したが、サイン色紙一枚になぜこれほど高い値段がつくのだろうか。漫画家やイラストレーターのサイン色紙を300枚以上所有するベテランのコレクターY氏が、コレクター目線で話してくれた。また、昨今のサイン色紙の転売事情についても言及してもらった。

転売が問題になりだしたのは最近の話

 ――サイン色紙の転売問題についてどう思われますか。

 コレクター・Y氏(以下略):長年、サイン色紙のコレクターとオタクをやっていますが、転売がこれほど問題になって叩かれていることにかなり違和感があります。というのも、ほんの20年くらい前は、転売がそれほどオタクの間でも問題視されていなかったからです。転売屋が問題になりだしたのは誰でも手軽に出品できるフリマサイトの増加と、オタクの“ライト化”が影響していると感じています。

 ――もう少し詳しく教えてください。

 オタクの意識の変化を象徴する事例を紹介しましょう。少し前のオタクなら覚えているかもしれませんが、2000年代にある美少女ゲームの大人気イラストレーターのサイン色紙がネットオークションに出品され、53万円もの値段がついたことがありました。2ちゃんねるでも大盛り上がりでしたが、その色紙は、雑誌かなにかの懸賞で当選した賞品が転売されたものだったはずです。

 このサイン色紙を買った人を、当時のオタクたちはどう見たと思いますか? 絶賛したのです。しかも、落札者も「私は(そのキャラが登場する作品名)と共に生き、共に死す! 今更何のためらいがあろうか!!」という名言を残しています。当時のアキバ系のニュースサイトを見ても、このセリフを残した落札者を「かっこよすぎる」と称賛していますし、明らかに肯定的に捉えていたのです。

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