勝新太郎と中村玉緒のデートに呼ばれたことも… 喜劇役者・芦屋小雁さんが世間を騒がせた“結婚遍歴” 「28歳年下女優と再婚して、中年の星とうらやましがられた」

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 物故者を取り上げてその生涯を振り返るコラム「墓碑銘」は、開始から半世紀となる週刊新潮の超長期連載。今回は2025年3月28日に亡くなった芦屋小雁(あしやこがん)さんを取り上げる。

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“雁之助さんの弟”と言われて

 芦屋小雁さんは、テレビや映画、舞台と幅広く活躍した喜劇役者だ。兄は「裸の大将放浪記」で画家の山下清役が印象深い芦屋雁之助さんである。

 演芸評論家の相羽秋夫さんは振り返る。

「巧みな演技なのに、兄の印象が強烈で、まず“雁之助さんの弟”という捉え方をされた。兄弟仲は良いものの、自身の芸風を伝えたいと悩んだ面もあります」

 1933年、京都市生まれ。本名は西部秀郎。幼い頃から映画好きで映画の絵看板を描く職に就くが、兄に誘われ漫才コンビを組む。

 脚本家で演出家の花登筐(はなとこばこ)さんに注目され、二人は喜劇役者に。59年、テレビのコメディー番組「番頭はんと丁稚どん」で全国区の人気を確立した。

「丁稚をいびる番頭が雁之助さん。役とは思えないほど堂に入っていた。丁稚役の茶川一郎さんにはなよっとした所作、大村崑さんにはとぼけた味わいと身から染み出る持ち味がある一方、小雁さんはいい人と伝わっても、明快なキャラクターに欠けた。人気者になったものの兄との実力差、同世代と比べても足りない点を感じたのです」(相羽さん)

勝新太郎と中村玉緒のデートに参加

 自然に心をつかむ笑いとは何か、試行錯誤した。

 放送作家の保志学さんは思い返す。

「雁之助さんと小雁さんが貧しい親子を演じた『らーめん親子』(60年)は、しんみりした場面もある人情ドラマでした。中国出身の設定で“中国ニ古イ諺(ことわざ)アル”という怪しい日本語でわが子を励ますのですが、小雁さんに芸を受け止める力があればこそ引き込まれた」

 舞台でも活躍、映画の脇役としても重宝される。勝新太郎に気に入られ、中村玉緒とデートする際には、マスコミの目を欺くために小雁さんが一緒に呼ばれた。信用されていたのだ。

 放送作家の古川嘉一郎さんは言う。

「小雁さんの芸風は明るく柔らかで、細かい感じはしない。雁之助さんは面白いと同時にアクが強かった」

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