トランプ関税でも「無印良品はほぼノーダメージ」の理由とは 一方ユニクロは「踏んだり蹴ったり」

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「倒産する企業が出てくる可能性も」

【全2回(前編/後編)の前編】

 永田町が“国難”に右往左往する間にも、「関税ショック」に日本経済はむしばまれ始めている。その影響は乱気流のごとく変動する株価に象徴されるが、実態はといえば少々見えづらい。果たして本当に被害を受ける企業名と品名とは――。

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「日本経済への影響でいえば、まずは輸出関連産業にダメージが及びます」

 と指摘するのは、第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣氏である。

「相互関税の影響でアメリカへの輸出がしにくくなるので、製造業や卸売業、サービス業を中心に企業業績に悪影響が出るでしょう。雇用や所得にも悪影響が出て、採用が絞られたり失業が増えたり、最悪の場合、企業倒産の可能性もあり得ます」

「日本が景気後退局面に入る可能性も」

 最も影響が懸念されるのは、今月3日にトランプ政権が発動した追加関税の標的となった自動車メーカーなのは言うまでもない。

 トヨタを筆頭にホンダ、日産、マツダ、スバルなどは、国内でおよそ550万人の雇用を抱えている。

 これらのメーカーに連なる関連企業も数多いとして、永濱氏はこう続ける。

「自動車産業は裾野が広いので、自動車部品、鉄鋼、ガラス、電子部品、卸売業、小売業、企業向けサービス業、運輸業などにも悪影響をもたらします。さらにサプライチェーンを通じて他の産業にも波及して、国内経済全体に影響を与えるでしょう。状況次第では、日本が景気後退局面に入る可能性があります。その先には来年の春闘が控えますから、せっかくの賃上げムードに水を差してしまうかもしれません」

 そうなってしまった場合、自動車関連以外で打撃を受ける業界はどこなのか。

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