断トツの好感度で「CM」を席巻…大手代理店OBが明かす「90年代の広末涼子」は本当に凄かった

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広末さんのサインもらってきて

 広末涼子(44)が東名高速道路で交通事故を起こし、その後搬送された病院で看護師に暴行を加えて逮捕された。だが、若者はなぜメディアやSNSの中高年がそこまで騒ぐのかの実感がないかもしれない。

 何しろ若者からすれば、鳥羽周作シェフや佐藤健との不倫報道や、キャンドル・ジュン氏との結婚と離婚、あとはタクシーで150km無賃乗車をした女優といったイメージしかないのでは。メディアも彼女のことをある時から「プッツン女優」扱いし始めたが、現在の40~50代にとって広末はまごうことなきトップアイドルかつ女優だったのだ。

 1996年にNTTドコモのポケベルのCMに出演すると「このかわいいコは誰だ!」と評判になり、一躍CM界とグラビア界の寵児となる。「MajiでKoiする5秒前」と「大スキ!」の2曲をヒットさせ、紅白歌合戦にも出場。この段階でエンタメ業界に加え、広告業界では注目の存在となっていた。

 筆者は大学4年生だった1996年に大手広告会社・博報堂の内定を取った。すると、大学の同期だけではなく、近所の人達がこぞって「広末さんのサインもらってきて!」と私に言ってくるようになったのだ。彼らは大手広告会社社員であればNo.1タレントの広末と接点を持て、サインをもらえると考えていたのだ。そんなことあり得ないですよ……。

どーんと行きましょう

 当時、様々なドラマで活躍していた山口智子や和久井映見、牧瀬里穂、深津絵里、松下由樹、石田ひかり、田中美佐子、高島礼子の名ではなく、広末の名前が出た。それだけ当時16歳だった広末は多くの人にインパクトを与えたとともに、好感度はトップクラスにあったといえよう。

 そして1997年4月、入社した時には新入社員研修が行われた。実在する商品のプロモーション企画を考える、という内容だったが、広末をCMのキャラに推す者もいた。アルコール飲料だったため「まだ未成年だろ、コラ!」ということで当然そのような企画にはしなかったが、研修でもその名前が出るほどだったのだ。

 さらに広末人気を実感したエピソードがある。これは真偽不明だし、恐らくは都市伝説の類だが、博報堂の先輩が電通との企画の立て方の違いを解説したことがあった。博報堂は緻密なデータ分析を元に、賢そうな企画を出す、というイメージが当時あった。一方、業界No.1の電通は「どーんと行きましょう!」的にダイナミックな企画を出す、といったイメージだ。

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