「河野太郎」インタビュー トランプ時代の安全保障は「脱・日米同盟偏重」「NATOのインド太平洋への拡大を」

国内 政治

  • ブックマーク

18、22歳のスキルでは一生働き続けられない

 ――人口減少下での国内的課題はきりがない。

 東京一極集中の打破は重要だ。大学進学などで、若者が18歳で一斉に東京に来る構図は続いている。大学や専門学校などの高等教育機関を東京から地方に移し、進学時に若者が東京や近畿圏、名古屋、福岡などに集まる現状を変えねばならない。

 日本は子どもの数が激減しているのに大学を増やした。これは明らかな間違いであり、きちんと大学を淘汰した上で、工業や商業、農業といった専門分野の高校教育にもっと注力する必要がある。高卒でも大卒と遜色ない、あるいは大卒以上の収入を得られるスキルを獲得できるようにする。人手不足なのは現場であり、現場で働く人の給料を上げるための教育改革は必須だ。

 公立の小中高は、お金がかからない。公立校のレベルアップへの資源投入は不可欠だ。それをせず、私立高校を含めた所得制限のない無償化を行った。これは公立高校を潰す、あるべき教育改革への逆行だ。また、社会人になっても大学に戻りやすくしなければならない。技術は日進月歩だ。18歳や22歳で得たスキルで一生働けるわけではない。高卒後にすぐ大学に行くのが当たり前という社会を変える必要がある。

排外主義でなく「ど真ん中」の国民政党

 ――自民党に必要な改革とは。

 今までの自民党は、役所が出してきた紙をホチキスで止めて「公約」としていたようなところがあった。自民党は何をする政党なのかをもっと明確にし、世の中とコミュニケーションを取らねばならない。

 また、自民党が掲げてきた「保守」とは、本来は寛容な考え方のはずだったが、一部の極端な排外主義者のような人が保守を名乗っている状況がある。一部の偏った考えは保守ではない。これを是正し、世の中の真ん中に「どん」と座ることができる国民政党としての自民党をつくるのが大事だ。

政策ニュース.jp(せいさくニュース・ドット・ジェイピー) 政策・政治関連の情報を発信する。 https://www.policynews.jp/

市ノ瀬雅人(いちのせ・まさと)
元報道機関勤務。政治分野などを担当した。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

  • ブックマーク

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。