「ニンテンドースイッチ2は予約延期」「ユニクロは踏んだり蹴ったり」 トランプ関税で本当に打撃を受ける企業とは

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「日本が景気後退局面に入る可能性も」

 永田町が“国難”に右往左往する間にも、「関税ショック」に日本経済はむしばまれ始めている。その影響は乱気流のごとく変動する株価に象徴されるが、実態はといえば少々見えづらい。果たして本当に被害を受ける企業名と品名とは――。

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 相互関税による日本経済への影響でいえば、まずは輸出関連産業にダメージが及ぶことになるが、最も影響が懸念されるのは、今月3日にトランプ政権が発動した追加関税の標的となった自動車メーカーなのは言うまでもない。

 トヨタを筆頭にホンダ、日産、マツダ、スバルなどは、国内でおよそ550万人の雇用を抱えている。

 これらのメーカーに連なる関連企業も数多いとして、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏はこう続ける。

「自動車産業はすそ野が広いので、自動車部品、鉄鋼、ガラス、電子部品、卸売業、小売業、企業向けサービス業、運輸業などにも悪影響をもたらします。さらにサプライチェーンを通じて他の産業にも波及して、国内経済全体に影響を与えるでしょう。状況次第では、日本が景気後退局面に入る可能性があります。その先には来年の春闘が控えますから、せっかくの賃上げムードに水を差してしまうかもしれません」

 そうなってしまった場合、自動車関連以外で打撃を受ける業界はどこなのか。

「ニューヨークの任天堂直営店にも影響」

 財務省の貿易統計(2024年)によれば、日本の対米輸出額は実に21兆2947億円にも達する。輸出品目は1位が自動車で、2位が自動車部品。3位がエンジンなどの原動機で、4位がショベルカーなどの建設用・鉱山用機械。5位にカメラやレンズなどの科学・光学機器などが並ぶ。

 どれも日本のモノづくりを代表する工業製品だが、世界的な知名度を誇る“あのブランド”もすでに影響を受け始めていた。

 今月9日から、米国では新型ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」の予約が始まる予定だったが、突然の延期となってしまったのだ。ゲーム機の開発から製造、販売までを担う「任天堂」(京都府京都市)の現地法人が発表したという。

 経済部デスクの解説。

「ニューヨークの任天堂直営店では、主力商品のゲーム機やキャラクターグッズを購入できます。販売している製品は中国やベトナム、カンボジアなどで生産されているので、当然ながら関税の対象になります」

 任天堂の本社に聞くと、

「関税の影響を精査するため、米国での予約開始を延期することは事実です。それ以上に回答できることはございません」

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