「自衛隊員は家畜と同じ」……現役隊員が嘆く自衛隊「廠舎」悲惨な実態 ベッドは劣化 シャワーは故障中で冷水を浴び【写真あり】

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大野原廠舎

 たとえば、長崎県の大野原廠舎。外観はそれなりに新しく見えるが、内部の実態はかなり厳しい。

 令和7年1月ごろに撮影された写真〈1〉のベッドマットはひどく劣化しており、とても人が寝られる状態のものとは思えない。現在、防衛整備計画の予算で自衛隊員が集団で生活している隊舎の新しいマットレスは少しずつ新品に交換されているが、廠舎はその対象外だ。

 現職の幹部自衛官によれば、「廠舎のマットレスは備え付け基準が存在しない簿外品(ぼがいひん)」とされ、正式な物品として扱われていない。つまり、更新や交換の予算がつけられず、長年放置されたまま使われ続けている。

「なぜそんなことになっているのか?」と聞くと、こう返答がきた。

「自衛隊の廠舎のマットレスは、そもそも備え付け基準等の根拠がない『簿外品』。ひらたく言うと“廃棄物”です。もともと寝具を備える施設という想定ではなかったんです。そこに隊員が勝手に不要になったマットレスや毛布を持ち込んで、それが放置され続けているんです」

 正式な備品として「簿内物品」に登録しようとすれば、会計検査や物品管理検査などのチェック対象となる。

 現場は人手不足で、これ以上の管理業務が増えるのは困る。だから更新予算をつけることにも抵抗がある。現場のそんな苦悩も見えてくる。

 しかし、衛生的な環境で訓練に集中できるようにするためには、こうしたマットレスや設備の更新は避けて通れない。現場の負担を増やさずに済むよう、防衛省や関係機関は柔軟な規定の見直しと、予算運用を進めるべきだ。

お菓子ばかりの「増加食」

 野外訓練や演習では普段より格段に活動量が増えるため、エネルギー補給のための「増加食」が支給される。でも、これが「お菓子とジュースばかりで栄養価など考えていると思えない」という不満の声がある。

「状況下の訓練では非常食はあるんですが、加熱剤が無くてガチガチの米を食べてます。最近は加熱不要の民間製品もあるけど、高いのか支給されません。温める時間も場所も無いなら、それに見合ったものを支給してほしい。『とりあえず菓子でも与えとけばいいだろう』って上が思ってるんでしょうね。現場は何も変わらない。20年ほど自衛隊に尽くしてきましたが、やっぱり中からじゃなくて外からじゃないと変わらないんだと、最近つくづく思います」

 米軍では、戦地でも「1日1食はできる限り温かい食事を」と心がけ、野外キッチンや温食提供に力を入れている。食事が士気や体調を支えるという実戦での経験がその理由だ。人民解放軍も同様にドローンで野外訓練時にも温食配給の体制を構築している。自衛隊にも野外炊飯車はあるが、数が限られており、全員分を一度にまかなえるほどではない。燃料や食材の補給・輸送も大きな課題だ。

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