「中国人専用風俗に“闇レンタカー”…」 中国人が違法ビジネスで荒稼ぎ 「同胞インバウンド」の裏側に迫る
正規のレンタカーは借りられない中国人
訪日客がこうした闇レンタカーを利用するのには、ワケがあるという。
「2度目3度目というリピーターのあいだでは、日本の田舎への関心が高まっている。ところが、日本の田舎は公共交通機関の便が悪く、車がないと観光できない場所も多い。しかし、他の主要国とは異なり、ジュネーブ条約に加盟していない中国は国際免許証を発給できません。従って、中国国内の運転免許証を持って訪日しても、その免許証では日本で運転することはできないし、正規のレンタカーを借りようとしても、中国人は断られてしまう。そのため、闇レンタカーの需要があるのです」(蔡さん)
白タクや闇レンタカーで日本を隈なく“闊歩”する中国人。だが、蔡さんによれば、彼らの訪日目的は「観光」に限らない。
「日本の人間ドックの受診です。中国では、人間ドックの検査ミスや見落としが頻発しているため、信頼できる日本での受診を希望する人が増えています。プランの一例を挙げると、がん診断に役立つPET-CT(ポジトロン断層撮影)検査や大腸内視鏡検査を含むフルコースの検診と、その前後の観光をセットにした3泊4日のプランで、航空券やホテル宿泊費込みで170万~220万円ほど。参加者は、コロナ後の中国人訪日客の増加率を上回るペースで増えています」(同)
海外への公金流出
さらにはこんな動きも。中国人の「医療ツーリズム」を取材するジャーナリストの周来友氏が説明する。
「訪日中国人による人間ドックの需要の高まりを受け、日本の地方の街の診療所が、中国人向けの人間ドック専門クリニックに鞍替えするという例も珍しくありません。設備の刷新などのために中国のブローカー企業から資金提供を受け、半ば買収されているようなクリニックもあります」
一般的には、誰と組んで誰をターゲットに商売しようが、それは事業者の自由である。しかし、医療に限ると話は違ってくる。医師の育成や医療機関の運営には、多額の税金が投入されている。にもかかわらず、日本人ではなく外国人の健康のために特化する医師や医療機関があるとすれば、それは事実上、海外への公金流出に他ならない。
しかも周氏によれば、人間ドックツアーには驚きの追加プランもあるという。
「医療ツーリズムのブローカーの中には、人間ドックで治療が必要な疾患が発見された場合、留学ビザや労働ビザなど、日本に3カ月以上滞在できる在留許可の手配を付加サービスとして行う業者もいます。これによって、患者は日本の高額療養費制度の対象となり、所得にもよりますが、月額5万7600円(住民税非課税の場合は3万5400円)さえ払っていれば、それ以上負担せずに保険診療を受けられる。例えば免疫チェックポイント阻害薬『オプジーボ』を使ったがん治療は中国だと月に数十万円を超える医療費が必要になるが、日本ならば先の金額で済む」
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