周囲もあきれた、フジHD金光社長の「日枝氏へのこび売りエピソード」とは 「大雪の中、日枝氏の元に駆け付けてトンネル内から救出」
一掃される幹部は「日枝相談役と共に会社をむしばんできたがん」
権力欲の塊と見られた日枝氏。その日枝氏に取り入ってフジHD社長の椅子を手に入れ、ついにはフジ全体を牛耳るに至った金光氏は「第二の日枝久」なのか。
もっとも、現役の社員たちは今のところ刷新人事を歓迎している。
「6月の人事で3割以上の女性役員登用、役員の世代交代、取締役の半減などが実現されることになりますが、何といっても日枝氏の寵愛を受けてきた政治部出身者とバラエティー畑の幹部が一掃されるのが大きい。彼らこそ日枝相談役と共に会社をむしばんできたがんでしたから」(フジの中堅社員)
一方、社会部出身である安田美智代氏(55)のフジHD取締役への抜てきはサプライズだった。
「安田さんは現在、フジHD経営企画局グループ経営推進担当局長兼開発企画統括という立場ですが、取締役への登用は人事慣行から言えば“飛び級”ですよ。彼女は司法キャップや社会部デスクを歴任したバリキャリ。ニューヨーク支局員時代は9・11に遭遇し、緊迫の現場をリポートしたことでも知られています」(同)
実力重視の人事に見えるが、彼女も現場を離れてからは経営企画畑。やはり金光氏の身内びいきがうかがえよう。
刷新人事公表のタイミングに疑問の声
企業ガバナンスに詳しい青山学院大学名誉教授の八田進二氏は、報告書に関しては、
「女性トラブルの内容が克明に記されていて驚きました。また、日枝体制が結果的にフジの人権軽視の社内風土を醸成した点もしっかり書かれていたと思います」
と評価するが、刷新人事公表のタイミングに関しては次のように疑問を呈する。
「数日後に第三者委員会の報告書が出るというのに、なぜ急いで日枝氏の退任を含む新人事を公表せねばならなかったのか。早期の信頼回復につながっていません。そもそも、第三者委員会は問題の原因を究明し、それを踏まえた上での再発防止策を提言するものです。新人事はその策を実現するために、どのような新執行部が望ましいかを考えて行わなければならなかったわけで、これでは筋が違います」
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