佐々木朗希の「乱調」に公式球ではない、意外な“盲点” “渡米の経緯”との関連指摘も…マイナー落ちが妥当なワケ

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実戦が不足

 その一因として、前出の元監督は実戦の準備が足りなかったことを挙げる。

「メジャーでは日本と違う公式球やマウンド、日本にはなかったピッチクロックなど、新たな環境に適応していかなければなりません。それには実戦のマウンドを積み重ねることです。遠投やキャッチボール、ブルペンだけでは足りません。打席にバッターが立ち、ランナーを背負った中でも出力を上げられてこそ適応は進んでいくものです」

 古巣ロッテのチーム関係者によると、今の佐々木のフォームは好調時のそれからはずれたものになっているという。

「いい時に比べると、肘が下がっています。スライダーを投げすぎると、そういう傾向は見えていました。大谷(翔平=ドジャース)がスイーパーを多投する際は肘が下がり気味なっていたように……。肘が下がると、体が開きやすくなり、必然的に球はシュート回転してしまいます。上からボールをたたけていないため球速が上がらず、フォークボールもシュートしているように見えます」

 佐々木といえば、160キロを優に超える直球と伝家の宝刀フォークボールが武器だった。スライダーは、投球の幅を広げることは間違いないが、副作用もあるようだ。

急傾斜のマウンド

 それにしても、本人はそうはならないよう留意しているはずだが、なぜ修正できないでいるのか。

「朗希自身も原因は分かっていると思います。分かっていても、全ての球で修正し切れない歯がゆさはあるのでしょう。“技術不足”や“自分の中に信じ切れるものがなかった”という言葉に、それを感じました」

 前出のロッテ関係者はこう語った上で、原因には意外にも、滑りやすいメジャーの公式球以上に急傾斜のマウンドに求めたのだった。

「メジャーのマウンドは日本のモノよりは硬さがあるとともに、傾斜がきついことで知られています。右投手なら左足が着地した時には、どうしても体が前のめりになってしまう。前のめりになれば、腕が遅れ気味になってリリースポイントは後方にずれていきます。その結果、体が開いてシュート回転するなどの球質の低下を招いているように見えます。アメリカのマウンドの傾斜に、朗希はまだ慣れていないような気がします」

 理想のフォームとはかけ離れた状態で腕を振り続けていけば、必然的に故障のリスクが高まる。体が開き気味なら肩、肘には負担が蓄積される。ただでさえメジャー1年目の日本人の先発投手は中4日の短い登板間隔や、滑りやすいメジャー球を制御しようと強く握ることなどが原因で、ことごとく故障に見舞われてきた。

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