「島田紳助」の話術&最強の「弁護士軍団」 ゴールデンタイムの“お手本”のような番組だった「行列のできる相談所」が終了

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23年の歴史に幕

 3月30日、「行列のできる相談所」(日本テレビ系)が最終回を迎えた。前身番組の「行列のできる法律相談所」と合わせて23年の歴史に幕を閉じることになった。最終回は生放送スペシャルとして行われ、番組の最後に司会者の東野幸治が締めのコメントをしていたのだが、なぜか彼が話している途中で放送が終了してしまい、何とも締まらない幕切れとなった。

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 2002年に始まった「行列のできる法律相談所」は、法律を主題にした新しい形のバラエティ番組として話題になった。バラエティ番組で法律を扱うこと自体はそれまでにもなかったわけではないのだが、この番組はその切り口に新しさがあった。

 まず、この番組では、法律という堅苦しいテーマを、再現ドラマやトークを交えながら誰にでもわかりやすく伝えていた。職場や家庭などで誰もが経験するような日常的なトラブルなどを題材にして、視聴者が自分ごととして考えられるような内容になっていた。法律の専門家である弁護士が噛み砕いてわかりやすく解説もしていた。

 再現ドラマを用いた演出も法律を理解しやすくするための工夫の1つだった。法律的な問題を具体的なストーリーとして見せることで、視聴者は「自分がこの立場だったらどうすればいいのか?」と考えつつ番組を楽しむことができた。

 さらに、初代司会者を務めた島田紳助の話術も見事なものだった。VTRを見た後のスタジオでは、単にその話題に触れるだけではなく、出演者同士のやり取りで笑いを生み出す仕掛けを作っていた。

 法律に関する説明がややこしくなるような場面では、紳助が自分なりにわかりやすく要点をまとめて、身近な例を出して面白おかしく解説をしていた。飲食店経営や不動産事業などを手がけ、ビジネスにも精通している彼だからこそ、法律的な問題を日常のレベルに落とし込んで説明することができた。法律という難しいテーマをわかりやすく面白く伝えるということにかけて、彼の右に出る者はいなかった。

 また、番組の人気の原動力となったのは「史上最強の弁護士軍団」と呼ばれる個性豊かな弁護士たちの存在だった。滅多に笑わない北村晴男、酒好きで無頼派の丸山和也、ママさん弁護士の住田裕子など、この番組に出てくる弁護士は芸能人並みに強い個性を持っていて、それぞれのキャラクターを確立していた。橋下徹もこの番組への出演をきっかけに知名度を上げて、のちに政治家に転身し、大阪府知事、大阪市長となった。

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